「ん……」
 ゆっくりとまぶたが開き、霧香が目覚めた。
 体を動かそうとしてもまるで動かない。それもそのはず、全身をがっちりと固定されている。
「お、起動したぞ。すごい耐久力だな」
 枕元にいる学者が驚きの声をあげる。
「なんでもこいつはミサイル一発食らってるのにこの状態らしいからな」
「貴様らは何者だ」
 厳しい声で、霧香が誰何する。
 誰からも返答はない。
 捕らわれの姫を無視して周囲の男たちは会話を続ける。
「まぁ、プログラムのプロテクトは何とかなりそうだな。しかし……こいつを造ったやつらは変態だな。なんとかと天才は紙一重ってやつか」
「どういうことだ?」
 学者の一人に、サングラスの男が問いかけた。おそらく護衛の一人だろう。
「いや、まだプログラムの書き換えには時間がかかりそうなんだがな、スペックとかは一応確認できたんだよ」
「もったいぶらずに早く教えろよ」
「まぁこのアンドロイドは戦闘用なんだがな、女の形をしてるだろう?」
「おう」
「ようするにヤれるんだよ。ダッチワイフにもなるみたいだ」
「へぇ……そりゃすげぇ」
 欲望にまみれた視線でサングラスの男が霧香の体のラインをなぞった。
「しかもだ」
「まだあるのかよ」
「相手の要望にあわせていろんな性格タイプになるらしいぞ。女王様から牝奴隷までなんでもござれだ」
「ぎゃっはっは。造ったやつは相当の変態だな」
 霧香は歯軋りするが、それ以上のことはなにもできない。
 下品な笑い声をあげると、サングラスの男が喉を鳴らした。
「お、おい。まだ時間はあるだろ。ちょっと俺に相手させろよ」
「はぁ? 馬鹿いってるんじゃないぞ。俺たちは解析が終わったらこいつを分解してすぐに持ってかなきゃならないんだ」
「別に性格変えろとまではいわねぇし、俺がやってる最中でもばらしてくれてかまわねぇよ。最悪胴体と頭が残りゃいいんだ」
 呆れた顔をされているのにもめげず、サングラスの男は気の早いことに、もうベルトに手をかけている。
「最近むさくるしいやつとの仕事ばっかりだったから溜まってんだよ」
「もういいよ。好きにしろ」
 肩をすくめると、科学者は自分の作業に戻っていった。
 すると、今度は別の白衣の男が霧香のそばにやってきた。
「おい、面白そうな話をしてるじゃないか。俺もいろいろ手伝ってやるよ」
 男は手にしたノートパソコンを軽く叩いた。
「別に今は3Pしたいわけじゃねぇんだ」
「違う違う。俺もそんなことするほど暇じゃない」
「じゃあ手伝うって何だ」
「俺はプログラムのほうの担当なんでな。こいつの頭のほうをいじらせてもらう」
 白衣の男は身動きできない霧香の頭を小突いた。
 女アンドロイドに睨みつけられてもまるで意に介した様子もない。
「私に触るなっ!」
 せめてもの抵抗とばかりに、霧香が怒鳴った。
 サングラスがわけのわからない顔をする。
「頭?」
「こいつは人間じゃない。ようするに全部プログラムで動くわけだ。だから、ちょっと数字をいじれば感度が百倍になったりするわけ」
 下種な男たちの会話を、半ばあきらめの気持ちで聞いていた霧香だったが、見る見るうちに顔が蒼ざめていく。
 そんなことをされてしまえば異常なデータ入力により回路がショートしかねない。
 いまだ理解のできないサングラスに向かって白衣の男は言葉を続ける。
「わかりやすく言うと、クスリやってる女相手にするみたいなもんだ。それよりももっと強烈だろうけど。たとえば首筋に息を吹きかけられただけでイッてしまうとかさ」
「へぇ……そりゃ面白そうだな」
 よだれでも垂れたのか、汚らしく口元を拭うと、男はズボンをおろした。
 下着の上からでもわかるほどににペニスは勃起しきっている。
「それじゃあ……そうだ。何もしなくても濡れさせるとかはできねぇのか?」
「できると思うが、そういう準備も含めて楽しむものじゃないのか」
「時間がねえんだろう」
「わかったわかった」
 ひらひらと手を振ると白衣の男はノートパソコンを霧香の近くにあった大型のコンピューターに接続した。
 かたかたとベッドの横でキーボードの音が響きだす。
「おい、今から俺が気持ちよくしてやるからな」
 下卑た笑いを顔に張り付かせて、サングラスは霧香の頬を撫でた。
 敵意をむき出しにして、霧香が怒鳴る。
「黙れクズめ! 」
「自分の立場をわきまえろよ?」
「お前のような人間にはこれがお似合いだっ!」
 霧香が男の顔につばを吐きかけた。
 サングラスが霧香の顔をわしづかみにする。
 そして、そのまま拳を振り上げた。
「人形の分際で!」
「そこまでだ、ストップ! これでよし。体のコントロールをセクサロイドモードに強制移行させた。もう殴る必要はないぞ」
 白衣の男に声をかけられ、サングラスが拳をおろした。
 そして霧香を観察していると、様子がだんだんおかしくなっていくのに気づいた。
 先ほどまでの刺すような鋭い視線はもう感じられない。
 とろんとした瞳で、焦点すら定まらないようだ。
 わずかに開かれた唇からは、はぁはぁと荒い息が漏れ出す。
「わ、私に、んっ。ぁあ、触るな……」
 切なそうに眉をしかめながらも霧香は気丈な姿勢を崩さない。
 しかし、それは逆に男の嗜虐心を煽ることとなった。
「すげぇ変わりようだなおい」
 サングラスが霧香の胸に手を伸ばす。
 それは愛撫などという代物ではなく、ただ自分の欲望を満たすための乱暴な手つきだった。
 豊かな胸の形が変わるぐらい、力加減もなく揉みしだく。
 それでも、今の霧香は心地よい快楽を得てしまう。
「くぅ……あっ、はぁん」
 堪えようとしても堪えきれずに、どうしても口から甘い声が漏れてしまう。
「クズにいじられて気持ちいいのか?」
「うるっ、さい……ひっ!」
 唐突に男が乳首をつまみあげた。
 それだけで霧香は背筋をのけぞらせてしまう。


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