「ちょ、こ、これ以上そんなことされたら……」
「なに? イッちゃう?」
 好奇心に満ちた目で見つめられて、山田はうなずくしかなかった。
「そっか……じゃあ、そろそろ」
 明日香が顔の前で両手を合わせた。
 なにをするのかと山田が見守っていると、
「いただきまぁす」
 底抜けに明るい声が浴室に響いた。
 山田が覚悟を決める暇もなく、明日香はぱっくり大きく口を開け、山田のものを口に含んだ。
 途端に、山田に温かい粘膜が送る快感が伝わってくる。
「きもひいい?」
 明日香がペニスを咥えたまま喋ったため、歯が亀頭を引っかいてしまう。いただきます、と言ってフェラチオを始められて、興奮の極みに昇りつつあった山田に、その鋭い刺激がさらなる加速で快楽を味わわせる。
「ひもちひひんら」
 眉をしかめる自分を見て、気持ちいいんだ、明日香がそう言ったのが山田にははっきりと伝わった。
 敏感な亀頭を舐めまわし、甘噛みされ、先走りの滲み出る暇もなく山田はその日最初の山に昇り詰めた。
「あっ、で……出るっ!」
 今度は明日香の覚悟が間に合わなかった。
 勢い良く噴き出した精液が、頬の裏側にあたり、口腔に溜まっていく。
 少しでも快楽を持続させようと、山田が自ら腰を振り、明日香の口にペニスを突き込む。
 すると、明日香の舌がそれに応えた。尿道に残った発射の残滓を外側から押し上げるような動きで、最後の一滴まで絞り尽くす。
 腔内にたまった粘液のかき混ぜられる音が体の内側から聞こえて、明日香の瞳がとろりと半分閉じられ、うっとりした表情になった。
「はぁ……」
 青臭い匂いのする溜息とともに、艶やかなピンクの唇から山田自身がずるずると引き抜かれていく。
 気付いた明日香が、それに逆らってちゅうちゅうと音をたててストローのように吸った。残念ながら甘いジュースは出てこなかったが、尿道からは新たな快感の代価としてカウパー滲み出て、明日香の舌の上に乗る。
 にっこりと笑いながら山田を見上げる明日香の口の端から、ゆっくりと白い粘液が一筋、零れ、流れた。それが落ちてしまう前に、ぺろりと舌で舐めとる。
 瞳に山田の姿を映したまま、喉を鳴らし、口の中のものを飲み下した。
「……やっぱまずい」
 明日香が眉をしかめて小さな声で呟いた。
「昨日、無理して飲まなくていいって言ったのに」
「ちゃんと私の中でイかせてあげらんなかったから。飲まれると嬉しいんでしょ?」
 行為自体よりも、その自分を想う心が山田には嬉しかった。
「すごく嬉しいけど、嫌ならいいよ」
「いいの、決めたから。今日は全部飲んだげる」
 知らず、山田の喉がごくりと鳴った。
「こんなにイガイガじゃなかったらまだましなんだけどなぁ」
 舌で口の中を拭っているのだろうか、明日香の頬が膨らんだり、へっこんだりしている。
 自分の出したものが恋人を困らせていると考えると、山田のものが再び固くなり始めた。
 それを見た明日香の目が細まる。
「あー! もう大きくなってる。お客さんエローい」
「こ、これは、その」
「つーか山田って絶対、普通の人よりエロいよ。昨日あれだけ出したのに今日のだってすっごい濃いんだもん」
 ほら、と言ってはしたなく口を大きく明けて見せる。口内は、綺麗なピンク色なのだが、ところどころに、べっとりとゼリー状の白いものが張りついて糸を引いている。
「うわ……」
 淫猥な光景に山田の下半身はさらに固さを増した。
「ね。普通は出せば出すほど薄くなるんでしょ、精液って。でも山田のって全然薄くならない、っていうか、だんだん濃くなってる気がする」
「ご、ごめん」
「謝らなくてもいいよ。これってそれだけ山田が私のこと好きってことでしょ?」
 明日香の唇が動くたびに、糸を引いている姿に目を奪われていた山田はとっさに返事ができない。ただでさえ、そのような問いに答えるのは苦手だというのに。
「……違うの?」
「す、好きってことだと思う。いつもならこんなにで、出ないし、勃たないから」
 悲しみよりも、むしろ驚いた表情の明日香に、慌てて自分の内情を暴露してしまう。
「それじゃあ、私のためにおっきくなったんだから、私がちゃんとしてあげないと」
 今度の明日香は先ほどとは違い、口を開けることはしないで、舌で根元のほうから、丹念にねぶっていく。
 陰毛にも怯むことなく、顔を突っ込んで舌先でぐりぐりと根元を刺激していく。
「う、うわ……」
 いつのまにか抜け落ちた一本の陰毛が、明日香の上気した頬に貼りついている。あからさまに頭髪とは違う、ちぢれた太い毛が、本来なら自分が触れることができるかどうかも妖しかった部分に存在するのが、山田には信じられなかった。
 恋人が感動している間にも、明日香の舌は巧みに動いていく。膨らんだ血管をなぞり、じょじょに先端に向かっていく。
 本当にそれが愛しいのだろう、明日香はときどきキスをするような仕草を見せた。初めて唇を許したものなのだから当然と言えばそうかもしれない。本人はそれを認めていないが。
 亀頭のかさの部分に残っていた水滴を舐めとると明日香は満足げな表情を浮かべた。
「よし。お掃除終わり」
 確かに綺麗にはなったが、こんな掃除はないだろう。とは思うものの、得がたい悦楽の前にそんな山田の常識は消し飛んでしまう。
「ん?」
 明日香が怪訝な表情を浮かべた。
 どうしかしたのかと、山田が尋ねる前に、おもむろに明日香が指を口に突っ込んだ。
 舌を突き出して、指でいじりまわしている。それは指を仮想のペニスに見立てたフェラチオのようだった。
「取れた」
 明日香が指でなにかを摘み上げる。山田が良く見てみると自分の陰毛だった。
 そのまま捨ててしまうと思っていたそれを、明日香はちろちろと舌先で弄ぶ。
「うわ! 私今すっごく変態チックじゃなかった?」
 やばー、そう言って笑っている恋人の様子を見て、山田は変態でもいいと強く思った。
「これで、本当におしまい」
 陰毛を投げ捨て、ぽんと手を叩く明日香はまさしく小悪魔だった。
「じゃ、じゃあもう終わり?」
 情けない声を出した山田を見て、明日香が大笑いした。
「あははははは。こんなので終われないでしょ? 私だって舐めたいのに、ね?」
 器用にウィンクすると明日香はペニスの鈴口を爪で引っ掻いた。
「うあっ」
 思わず腰をひく山田。
「あっ! ごめん、痛かった?」
「大丈夫。凄い刺激がきてびっくりしただけだから」
「だったら良かった。えーっと……寝っ転がってくれる? その方がしやすいし」
 言われたとおりに洗い場に仰向けになった山田に明日香が覆い被さった。いわゆるシックスナインの体勢である。
 目の前に恋人の秘部がある状況に山田は興奮し、先ほど自分のものが入っていたところにむしゃぶりついた。
「ひあっ」
 突然のざらついたしたの感触に、明日香が仰け反る。
「もう! そっちがその気なら……」
 明日香も山田のペニスにしゃぶりつく。一気に喉の奥にまで飲み込んでしまったために、少しむせそうになったが、なんとかこらえ、ちゅうちゅうと吸いこみ始めた。


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