できるだけゆっくりと明日香はしゃがみこんだ。視線の先にはちょうど山田の股間がある。
 妙な沈黙があたりを包み、緊張と興奮に満ちた山田の吐息だけが聞こえた。
 そろそろと明日香の手が山田のズボンに伸ばされる。
 うわー、うわー。私、今からほんとにフェラするんだ……。
 なんでこんなことになってんのかもうわかんなくなっちゃったけど、フェラだったらセックスと違って初めてが痛いなんてことないから大丈夫だよね。
 別に減るもんじゃないし……。
 細く綺麗な指がジッパーにかかった。ちりちりと音をたてて、ジッパーが降ろされていく。
 ぱっくりと開かれたチャックからは、カラフルなトランクスがこんもり盛り上がって覗いていた。
「山田ってトランクス派なんだー。なんか以外」
「そ、そうかな」
「なんかブリーフ履いてそうなイメージだったのになー」
 自分の緊張を誤魔化そうと、明日香はわざと軽口を叩いて見せる。もっともそんなことをせずとも、山田はそれ以上に緊張していたので気づかれることはなかっただろう。
 再び、どちらもしゃべらなくなってしまった。黙って、慎重な面持ちで明日香はトランクスに触れた。
 熱い。というのが明日香の最初の感想だった。
 うっわー。もう勃っちゃってるんだー。
 明日香は場違いなぐらい呑気なことを思う。そのまま優しく、盛り上がりに沿って撫でてみる。
「う……あ……」
 無邪気な明日香の行動で山田はうめき声を洩らした。
 耳聡く快感の声に気付いた明日香は、それに気を良くして、こんもりと盛り上がった丘に掌を沿わせるとニ、三度揉んでみた。
 山田がせつない顔をするのが目線を上げた明日香に見えた。
 山田のやつ、気持ち良さそうな顔してる。おちんちん触られるのってほんとに気持ちいいんだ。
 げっ、なんか手の中でどんどん膨らんで固くなってる。すごい!
 ほんとはこんなのアソコに入れちゃうんだぁ。そりゃ痛いよねー。
 驚きをできるだけ顔に出さないようにして、手馴れたふうを装う明日香。
 さわさわと敏感な部分を弄繰り回されて山田の興奮はどんどん増していく。しかし、トランクス越しのため、その快感は頂点を極めることはない。もどかしい思いが山田の胸に湧きあがる。
 しかし、引っ込み思案な性格が災いして直に触ってくれとも言えず、山田は甘美な拷問を受けているような気持ちになった。
 別に明日香も意地悪をしていたわけではない。単純に踏ん切りがつかなかったのだ。勢いでここまで来てしまったものの、土壇場になって怖くなったのだ。
「こ、このままじゃしにくいし……やっぱ立って。それと……ズボン脱いでよ」
 少しでもそのときを遅らせようと、明日香はそれらしいことを言って時間を稼ごうとした。
「う、うん」
 山田がギクシャクと立ちあがり、ごそごそとズボンを下ろして、トランクス姿になった。
 数十秒の時間しか稼げなかったが、明日香にとっては十分だった。もともとのあっけらかんとした軽い性格もあってか、半ばやけくその決心を固める。
 ここまできたらやるしかないって!
 別に死ぬわけじゃないし。
 私も山田のこと嫌いじゃないし、ていうか結構好きな方だし。
 よし!
 覚悟を決めて、トランクスに手を掛ける。明日香の動きに合わせて山田が腰を僅かに浮かせる。明日香は、ぐっ。と顔を近づけると、
「いっせーので」
 その場にそぐわない掛け声と共に、一気にトランクスを引き摺り下ろした。
 ふるん。と、大きく揺れて、山田のペニスが飛び出した。そのまま勢い余って明日香の顔を叩く。
「ぅわっ! 痛っ!」
 鼻先に衝撃を感じて、明日香がドアにぶつかるようにして飛びのいた。
 実際には驚くほどの痛みではなかったのだが、ペニスに叩かれるなど予想外の出来事だったのだから明日香を責めるのはかわいそうと言うものだろう。
「ちょっ、なに?」
「ご、ごめん」
 鼻に手をやっている明日香を見て、山田が申し訳なさそうな声を出した。
 本当は顔を近づけすぎた明日香が悪いのだが、そんなことは二人には関係ない。
「もー、勘弁してよねー……」
 明日香が言葉を途切らせた。初めて生で見る男のものに目を奪われてしまったのだ。
 頭では目を逸らしたいと思っているのだが、目は釘付けになって離すことができない。
 今まで無修正のビデオなどで見たことがあるので平気かと思っていたが、先ほど感じた熱が掌に残っていて、それが明日香をおかしくさせている。
 一方、山田もとても平常心ではいられなかった。トイレにきた時点でわけがわからなくなっていたのだが、自分のペニスを好きな女の子に見られていることで、いような羞恥を感じていた。
 ジロジロと遠慮のない視線で見つめられて背筋がぞくぞくするような気分になってくる。明日香の視線が自分のものを這いまわるたびに、ペニスがぴくんと勝手に動いてしまう。
 うわ、うわー。動いてるよ。
 でも、なんかビデオで見たのと違う。
 ビデオのやつはもっといかめしい感じだったけど……。
「ねぇねぇ。山田のって普通と形が違わない?」
「え? ……あの、僕、仮性包茎だからだと思う……」
 明日香の遠慮ない言葉に少々傷つきながら山田が答える。
「あー。これがカセーホーケーか。じゃあ、剥いたらいいんだよね」
 そそり立ってはいるものの、いまだ皮を被っているそれに、明日香は無造作に手を伸ばした。
 山田は慌てて明日香を止めようとしたが、間に合わなかった。
 ちょうど亀頭のあたりを掴むと、ずるんと、余っている皮を剥いてしまった。
「あっ!」
 異様なシチュエーションに興奮しきっていた山田にとって、敏感な亀頭に加えられた刺激は強すぎた。
 普段は包皮で守られているせいで敏感になっている部分が急に外気に触れる。それと共に、明日香の指が亀頭を掠めた。
「っ! あぁ……!」
 情けない声を上げて、山田は射精してしまった。かくかくと空腰を使って明日香の顔に白いシャワーを浴びせかける。
「えっ!? え? うわっ」
 慌ててペニスから指を離すが、もう遅い。突然のことに明日香は気が動転してただ悲鳴をあげることしかできない。
 騒ぐ明日香の顔がどんどん汚されていく。
 熱いっ! なにこれ? うわっ、キツイ匂い。
 あー、でもおちんちんがあんなに熱いんだから、精液も熱いよね。
 違うって、そんなこと考えてる場合じゃ……あ! これ顔射だ。
 ちょっと、私初体験の前に顔射しちゃったよ。
 冷静なのか混乱しているのか、明日香の頭で様々な思考が渦を巻く。
「ちょっ、山田! とめろってば。うわっ!」
 明日香の言葉が耳に入らないのか山田は惚けた顔をして、快感に震えている。
 悲鳴をあげたせいで開いた明日香の口に精液が飛びこんできた。どろりとした塊が明日香の舌の上に乗る。
 反射的に舌を動かしてしまったので、その気もないのに精液を味わうはめになってしまう。
 うえっ、凄く不味い。美味しいとか全然嘘じゃん。
 彼氏ができたらこれ舐めなきゃいけないの?
 顔をしかめながら、なんとか飲み下す。その直後、吐き出せば良かったと後悔するが後の祭である。
「もー! なにこれっ! マジ最悪! うえぇ!」
 顔中をベトベトにして明日香が悪態をついていると、ようやく山田が射精を終えた。
 膨れっ面の明日香を見て、自分の行動に気付いたのか、山田が青褪める。


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