「ごめん! あの、大丈夫? ほんとにごめん!!」
 泣きそうな顔で謝っている山田を見て、明日香の怒りも収まってきた。必死で謝っている山田がなんだか可愛く思えてくる。
「こっ、これ使って!」
 山田はからからとトイレットペーパーを巻き取ると、あたふた明日香に手渡した。
 明日香は黙ったまま、顔の汚れを拭っていった。
 明日香が乱暴に手を動かすと、わしゃわしゃと渇いた音をトイレットペーパーがたてる。
 その様子を山田が恐る恐る見守っている。山田の胸の中は、情けなさと恥ずかしさでいっぱいだった。
「ほんとにごめん。まさか急にあんなことになるなんて思わなくて」
「もういいよ。別に気にしてないからそんなに謝んなくてもいいってば。でも……出ちゃったから、もうフェラチオはできなくなっちゃったね」
 残念そうに明日香が山田のペニスを見ると、一回出したというのにその硬さを失わず、元気なままでいる。
 それどころか、明日香の目には皮を剥いたせいで亀頭が露出して、いかつさを増したように見えた。もっとも皮が剥けたといっても、かりの部分に引っかかって半分ぐらいだけで完全に剥けきったわけではないのだが。
「なんで? 男って一回イッちゃうとしばらく待たないといけないんじゃないの?」
 興味津々といったふうに明日香はそろそろ手を伸ばしたが、先程の惨事を思い出して慌てて引っ込める。
「普通はそうなんだけど……。あの、すごく興奮してるからだと思う……」
 恥ずかしそうな顔をして山田が自分のものを見た。とてもじゃないが明日香の顔を見ることなどできない。主の思いとは関係なく自分のものが自己主張しているのが情けなかった。
 明日香はというと、感心した様子で、ふーん。だとか、へー。だとか声を出して頷いている。
「あっ! つーことはさぁ、山田は私で凄く興奮してるってことだよね? なんか嬉しいかも」
 にっこりと無邪気に笑う明日香。
 その場にそぐわない爽やかな笑顔とあけすけな言葉が山田の興奮を煽った。自分でしごいて静めてしまいたいが、そんなもったいないことはできない。目の前の美少女が口でしてくれると自分から言ってきているのだから。
「こんだけ勃ってたら咥えられるよね? あー……」
 自分がどれだけはしたないことをしているかにまるで気付かずに、明日香は大きく口を開けて、精液の残滓がこびりついている肉棒に顔を近づけた。
「……むっ」
 まるでアイスキャンデーを食べるような気軽さでぱくりと口に含む。
 明日香の口中に生臭い匂いが広がった。
 あんまり美味しくないな、それになんか変な匂いがする。
 でも、すごく熱い……。触ったときも思ったけど、やっぱり熱い。
 うえっ! 苦いっ! なにこれ? あっ! 残ってた精液だ。きちんと拭いてから舐めれば良かったー。
 明日香がどこか呑気な感想を抱いていたころ、山田は初めての快感に感激していた。
 気持ちいい、暖かくて、凄い……。
 あっ、またイッちゃいそうだ。まずい……。
 山田が明日香に唇を離すように言おうとしたちょうどそのとき、明日香が口内に溜まった唾液を飲み込もうと口をもごもご動かした。
 柔らかく暖かい舌がペニスを這いまわる。明日香にその気はなかったが、山田にとってはじゅうぶん愛撫として感じられた。
「は……っう」
 うめき声を上げたものの、なんとか射精を我慢して安心した山田を更なる刺激が襲った。
「ひょっと、いひひょうりらっららいっれよ」
 ちょっと、イキそうになったら言ってよ。明日香がペニスを咥えたまま喋り出した。
 当然、なにを言っているのか山田には皆目見当もつかなかったが、舌がうねうね動き回り、唇が閉じたり開いたりして硬い肉を締めつけ、山田の我慢は限界に達しそうになる。
「ひいれるの?」
 明日香が返事がない山田を上目づかいで見上げたそのとき、歯がピンクの先端をを引っ掻いた。
「う、あぁっ!」
 イッたばかりの敏感な亀頭にこの刺激は強すぎた。山田の我慢はあっさりと崩壊してしまう。
「でっ、出る」
「ふむぅ! んんっ!? んー」
 異変を感じて口を離そうとする明日香の頭をむりやり抑えつけ、山田は喉の奥まで自分のものを突っ込んだ。
 なんとか逃れようと暴れる明日香の動きは山田にとって心地良い刺激でしかなかった。
 明日香の口の中で熱い塊が暴れまわったかと思うと、先端が膨らんで、勢いよく白い欲望を吐き出し始めた。
 山田は恍惚の表情で腰を明日香の顔に押し付けている。
 陰毛に顔をくすぐられながら、明日香は山田の豹変に驚いていた。普段はどこか頼りない感じの山田がこんなふうに明日香の意思を無視するような行動に出るとは思わなかったからだ。
 喉を突かれ、涙目になって苦しむ明日香の口が青臭い粘液で溢れかえった。
 抑えつける手をなんとか振りほどいて、口から肉棒を吐き出す。同時にどろりと白いゼリーも口の端から零れ落ちた。
「ぅえっ! けへっ、けほっ……ちょっと山田! あんたなに考えてんのよ」
「はぁー……。凄く……よかった……」
 力無く、山田は便器にへたりこんだ。
「あんたが気持ちよくてもこっちは最悪だっつーの!」
 陶然としている山田を睨みつけ、口元を拭いながら明日香がまくしたてた。
「むりやり飲ませるし、やめろっ言ってたでしょ。この馬鹿! こっちは苦しいのに一人で気持ちよくなるな!」
 口の周りをベトベトにしたまま、明日香が顔を山田に寄せる。
「つーか、こんなにすぐイカれちゃったらなんの経験にも、練習にもなんないじゃん!」 
「え?」
 腑抜けた顔で聞き返してきた山田を見て、明日香がしまった。と、口を抑えたが手遅れだった。
「いや、違うって。別にそんな、フェラしたことないとかじゃなくって。その、あれよ、ね。わかるでしょ? だからね、まだセックスしたことないから……」
 焦って、喋る端からぼろが出ていく。最初の言葉だけならまだごまかしもきいただろうが、動転した明日香はぺらぺらと自分の秘密を喋り続けてしまった。
 数分後。
 頭を抱え込みしゃがんでいる明日香の姿があった。
「あー、もー……私の馬鹿……」
「てことは、吉崎さんって……こういうことしたことないの?」
「え? ああ、そうよ。悪い」
 明日香はふてくされた態度で立ちあがると、座っている山田を威圧するように見下ろした。
「別に悪くないよ。それどころかなんか嬉しいかも」
「なんでよ。まさかこんなことで私の弱みを握ったとか思ってんじゃないでしょうね。言っとくけど、別にこんなのなんでもないんだから」
「い、いや、そんなんじゃなくて。やっぱり吉崎さんがいい人だって思って」
「どーやったらこの状況で私がいい人になれんのよ」
 明日香が呆れた顔をする。
「だって、友達のためにこんなことまでできるんだし……」
 上目づかいで見上げられて明日香は驚いた。自分の嘘をつきとおすためにやったことなのに褒められるとは思ってもいなかったのだ。しかも自分に好意を抱いているのを知って、利用しようとした相手から。
「いや、違うって。自分のためだって」
「そんなことないよ」


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