にっこりと笑いかけられて、明日香は呆れかえった。どこをどう曲解すれば自分がいい人だという結論が出るのだろうか。凄いお人よしだ……。しかし、そう思うのと同時に、なんだかこの底抜けのお人よしが可愛くなった。
「ま、細かいことはいいって。とにかく今日はもう二回もイッちゃって無理だろうし、解散!」
 勢いよく言ったものの、明日香は困り果てた。結局ほとんどなにもしないまま美冬に会うことになりそうだ。
 どうしよう。とぶつぶつ呟く明日香の目に驚くべきものが飛びこんできた。萎えることなく上を向いている山田のものである。
「うわっ! ちょっと凄くない? なんでこんなに元気なの!? でも、これでちゃんとフェラできるじゃん」
 嬉々として山田の前に座りこもうとした明日香を山田が無言で制止した。
「なに?」
「あの、いまさらだけどやっぱりだめだよ。こういうことはやっぱり好きな人としないといけないと思う」
 こんなこといえる立場じゃ無いと思うけど。と、山田は苦笑いしながら言った。
 そのままズボンを履きなおし、立ちあがろうとしたそのとき。
「だめっ!」
 明日香が山田の肩を抑え、そのままの勢いでのしかかった。ちょうど山田のひざの上に明日香がちょこんと座る形になる。
「私が嫌いな人にフェラしたいと思う?」
「でも……嫌いじゃないだけなんでしょ」
 うっすらと化粧の施された綺麗な顔を間近にして、山田が赤面した。お互いの息遣いがわかるほどの距離で異性と接するのは初めてだった。
 山田の鼻先をうっとりするような良い香りが掠めた。明日香がつけている香水の匂いだろうか。いや、明日香自身の香りに違いないと、山田はなぜか確信できた。
 明日香も、線の細い割に、がっしりした感触を感じて、自分が迫っているのは男だということを実感する。なにより、直接は見えないが、股間の盛り上がりの中身が雄であるということを主張していた。
「最初はそうだったけど、なんか山田って可愛いし」
「か、可愛いって……」
 山田が女の子に可愛いといわれて思わず憮然とした表情になる。男としてちょっと情けないと思ったのだ。
「凄いイイやつだしさぁ。好きになっちゃった」
 あっさりと告白されて山田はうろたえた。夢にまで見た瞬間だが、こんな状況で、とは夢にさえ見なかった。
「そ、そんな軽くていいの?」
「いいって。あ! もしかして山田がいや?」
 想い人に哀しい目で見つめられて山田は白旗を振るしかなかった。
「い、いや、そっんなことないけど」
 変なアクセントになってしまったが、山田がなんとか返事をする。
 明日香が抱きついてきた。あまりの笑顔に先程の泣きそうな顔は嘘だったかと山田は思った。が、それでも好きな人と想いが通じ合ったのだから、騙されてもなんら問題無い。
「よし! じゃ、両想いになったところで続きしよっか」
 彼女の体温を感じて山田が陶然としていると、明日香はあっさり身を離し、山田のズボンを降ろしにかかった。
「ちょっ、ちょっと吉崎さん!」
「なに?」
 あっというまにトランクスに手を掛けていた明日香が山田を見上げる。
「そ、そんな急に。もっと時間をかけてというか」
「なんで? 彼女がフェラしたこと無くて恥かいてもいいの?」
 無茶苦茶な理由にならない理由を盾にして、明日香は再び手を動かし始めた。一度しかやっていないというのに滑らかにトランクスを脱がしてしまう。
「で、でも……」
 下半身裸という間抜けな格好で彼女に逆らおうとした彼氏は、大きく口を開けて今まさに自分のものを口にいれようとしている明日香の姿に逆らうことを止めてしまった。先程の甘美な記憶が蘇ってしまったのだ。
 山田が期待に震えながら、暖かく濡れた口内に包まれるのを待っていたが、いつまで立っても明日香はペニスを咥えようとしない。
「なんで動かないの?」
 焦れた山田が思わず声に出す。
「だって、嫌がってるのに舐めちゃダメだよね」
 意地の悪い笑みが明日香の顔に浮かんだ。
「さっき凄くよさそうだったから、私も初めてできた彼氏を気持ち良くしてあげたいんだけどなー」
 濡れた吐息をぴくぴく動く亀頭に拭きかけている明日香の様子は、とても男性経験がないとは思えない。まさに小悪魔のそのものだった。
「やっぱりこういうのってお互いの気持ちが大事だもんね」
 明日香がちろちろ舌を動かして見せた。言葉とは裏腹に、その瞳は濡れて輝き、山田を魅了する光を放っていた。
 じゃ、教室もどろっか。明日香が呟いて立ちあがると山田が情けない悲鳴を上げた。
「ごめん、吉崎さん! して欲しい、フェラチオして欲しい。そんなことされたら我慢できないよ」
「おっけー。これでお互いの気持ちも確かめ合ったし。いただきまーす」
 してやったりとばかりに明日香が笑った。ほっと一息ついた山田を確認すると、明日香はしゃがみこんだ。
「じゃあさ、さっきみたいに立ってよ。……よしフェラするぞー。あ! イキそうだからってさっきみたいに無茶しないでよ」
 釘を指されて山田が照れ笑いを浮かべる。先程の我を忘れた自分勝手な姿が思い出されて恥ずかしくなったのだ。
「う、うん!」
 意気込んで返事をした山田を満足げに見上げると、明日香は目の前の欲望の塊に目をやった。
 よし。こんどはちゃんとフェラチオしなきゃ。なんの経験にもならないしね。
 えーっと……すぐイカれちゃったらだめだから……さっきはどうなったっけ。
 確か皮を剥いたらイッちゃったから、そのままの方がいいのかな。
 前二回の射精を振り返りながら明日香は考えた。少々失礼な考えも混じってはいたが。
「あむ」
 なんの前触れもなく、自身のものが柔らかく熱を持った粘膜に包まれ、山田は深く息を吐き出した。
「はぁ……あ、あったかい……」
 歓喜に震える少年の声を聞きながら、口中の肉棒の熱を確かめるように明日香はじっと動かない。
 青臭い独特の匂いが、明日香の腔内にじわじわ広がっていった。最初は思わずえづいた匂いも次第に慣れて、気にならなくなっていく。しかし、ときおり舌に触れる精液の味には慣れることはできそうにないと思った。
 咥えているだけではいけないと考えて、明日香は自分の性知識をフルスピードで思い出す。
 確か……口でしごきながら舌で舐めるんだよね。
 頭の中で確認すると、舌を動かし出す。
 明日香が包皮の感触を楽しむように舌を熱い塊に這わせる。
 たまらないのは山田である。やっと舐めてもらえたと思ったのに、皮の上からではぼんやりとした快感しか伝わってこない。まさに生殺しだった。
 なんか、ちょっとぷにぷにしてグミみたいな感じかも。
 舌先で押すようにしてペニスを突つきながら明日香が弾力を確かめる。頭を動かし、舌に触れる位置を少しづつずらしていく。そうすると艶やかな唇から唾液で濡れた血管の浮いた肉棒がずるずると姿を現してくる。
 口の中に残っているのは亀頭の部分だけという状態になると、明日香は動きを止めた。
 緊張と興奮で息が荒くなっていく。ふぅふぅ言いながら呼吸するのだが、口が熱い塊で塞がれてしまっているので非常に息がしにくい。それでも明日香はペニスを離そうとしない。
 眼前のとてつもなく淫靡な光景に山田の興奮はどんどん高まっていく。自分のものがはちきれんばかりに漲って痛いぐらいである。
 再び明日香がそそり勃ったものを口の中に収めていく。しっかりと味わうように舌をねっとり絡みつかせ、亀頭の盛り上がりを皮越しに感じながら動かす。


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