なんかさっきより硬くなってない?
 男って出せば出すほど柔らかくなるんじゃないの?
 自分の知識と眼前の山田とのギャップに驚きながらも、明日香は懸命に頭を動かした。
 慣れない使い方をしているからだろうか、顎がすぐにだるくなる。それでもときおり洩れる山田の快感の呻き声を糧に、明日香はぷるぷると柔らかい唇で肉棒をしごき続けた。
 初めのうちは歯がたまに亀頭を引っ掻いてしまっていたが、口の中に唾液と先走り液が溜まり始めると、それが潤滑液の役割を果たして滑らかな動きの手助けになった。
 明日香の口内でぐぽぐぽと空気を含んだ粘液が攪拌される。
「気持ちいい?」
 口の周りを濡らしながら明日香が彼氏を見上げた。
「気持ちいい、すごく……」
 山田の心からの感想だった。短い感想だが、その表情が言葉以上に快感を物語っている。
 自分の上達ぶりに満足した明日香は次のステップに進むことにした。さらに積極的に舌を使おうというのだ。
「ふむぅ……ん、んっぁ」
 意識して舌を熱い幹に這わせる。
 露出した亀頭と皮部分の感触の違いがなんだかおもしろい。明日香は円形の皮の縁を舌先でなぞり出した。
「あうぅ……」
 繊細な刺激に山田がくぐもった声をあげた。口を一文字に結び、必死で快感を堪えている。
 その様子を明日香が上目づかいで確認し、嬉しそうに目を細めた。
 しばらくの間、明日香はふよふよした皮付きペニスを味わっていたが、咥えたときと同じように、口を大きくゆっくりと開けるとペニスを吐き出した。
「んむぁ……」
 ピンクの唇と、赤黒い肉棒の隙間に幾筋もよだれが糸を引いた。混ざっている先走り液がよほど濃いのか、なかなか切れない。
「むぅっ……あんむぅ」
 唇を動かしてなんとかベトベトする感触を取り払おうとするが、にちゃにちゃと音を立てるばかりで一向に粘液がなくなる気配はない。明日香は口元を指で拭うと、艶々光っている指先をじっと見つめしばらく考える素振りを見せたが、なにを思ったのかパクリと咥えてしまった。
「別に不味くはないよね」
 その光景を見下ろしていた山田のペニスがひくひく動いて持ち主の興奮を代弁した。
 ちゅぱちゅぱとはしたない音をたてて綺麗に手入れされた指先をしゃぶっていた明日香だったが、自分を凝視している山田に気付いた。
「ん? そんなに見ないでよ、なんか照れるじゃん」
「ご、ごめん。でも……すごくいやらしかったからつい」
「なにが?」
「その指を舐める仕草が凄くエッチに見えて……」
「マジで? 山田って結構エロいんだぁ。真面目そうなフリして、そんなことばっか考えてんでしょー」
 山田に顔を近づけると、明日香はからかうようにゆっくりと指を口に含んだ。
 ごくりと山田の喉が鳴った。
「やっぱり興奮してる……むっつり、は・っ・け・ん」
 耳元で囁かれて、山田は再度つばを飲み込んだ。
 明日香が息をするたびに、愛らしい口元にはつかわしくないイカ臭い匂いが微かに漂ってくる。
 間違いなく自分の出した精液の匂いだ。その淫臭が、今の状況を夢ではなく現実だと確信させる。
 山田は自分のものが本当に長い間想っていた同級生の口を犯したのだと思うと世界のすべてに感謝したくなった。そして、さらに自分の股間に血液が集まるのを感じた。
 ひくひくと動いている山田の鼻に気付いた明日香は焦って口元を覆った。
「えっ、もしかして匂う!? うわっ! 最悪ぅー」
 狭い個室でできる限り距離をとった明日香は、山田から顔をそむけた。
「ちょっとだけ。で、でも僕の出したやつの匂いだし……そんなに気にしなくても」
 口元で掌を広げ、自分の息の匂いを確かめている明日香を見ながら、山田がおずおずと言った。
「そういう問題じゃないって」
 泣き笑いの複雑な表情で乙女心を覗かせながら明日香が言った。
 やはり彼氏の前ではできる限り可愛らしくいたい。それなのにまさか精液まみれの口臭を嗅がれてしまうとは。
 明日香がくるりと山田に向き直る。
「あのさ……」
 上目づかいで見つめられ、山田はどぎまぎした。金髪の女子高生に媚びるような視線を向けられるというめったにないシチュエーションは、ただでさえ異性慣れしていない少年にはきつすぎる。
 山田は生唾を飲み込んだ。
「……普段は私絶対にこんな匂いしないから。ほんと、ちゃんと歯も磨いてるし、マジきれいにしてるから、だから……だから嫌いになんないでね」
 今風の見た目に反した中身の持ち主だということを山田は先ほど知ったばかりだが、ここまで殊勝なことを言うタイプとは思わなかった。
 見た目とのギャップのせいか、無性に胸が締めつけられるような気がする。
 山田が感激して言葉にならないのを明日香は不安げに見ている。
「嫌いになった?」
 ぶるぶると山田が勢いよく頭を振る。
「まさか! ますます好きになったよ。僕、吉崎さんを好きで良かった」
 明日香が山田に抱きついた。喜びを全身で表現し、懸命に恋人に伝えようとしている。
「うわっ、吉崎さん!」
「やっぱり山田っていいやつだよね」
 山田にぴったりと密着した明日香は、さらに言葉を続けようとしたが、自分の股間に当たっている熱く、硬いものの感触に言葉を変更した。
「つーか、いませっかくの感動のシーンなのにずっと山田のおちんちんが当たってて台無しなんだけど」
「ご、ごめん」
「でもフェラの途中だったから仕方ないか」
 背中に回していた手をするするとおろし、優しくペニスを包み込んだ。鈴口から溢れている粘液が綺麗に手入れされた指を汚す。
「……っ」
 小さな呻き声を聞きながら、明日香はしゃがみこんで自分の手の中で自己主張しているものをじっくりと観察する。
「……ほんと、山田のおちんちんって元気だよね」
 照れ臭そうに笑う山田の顔には気付かずに、明日香は再び口を大きく開け、ペニスをしゃぶりだした。
 ニ、三度頭を動かすと、剥き出しの亀頭部分のみを口内に残し、ちゅうちゅうと吸いつく。
 痛いぐらいの快感に山田の顔がしかめられる。
 最初は生臭い香りが鼻についていたが、次第に明日香はそれが気にならなくなっていた。慣れないだろうと思っていたのに、むしろ良い匂いだと感じさえする。
「ふむぅ、ん……んふ」
 舌先を尖らせて亀頭の割れ目を刺激する。
 その刺激に反応して、思わず山田の腰が跳ね上がり、明日香の喉を突いた。
「んぐっ!? んあっん……うー」
 恨めしそうな顔で見上げてくる明日香に謝罪の言葉を口にすると、山田は明日香の髪を優しく撫でた。
 明日香の目が細められ、先ほどまでとは逆に恍惚とした表情に変化する。
 ほっ、として手を止めると、明日香がいやいやをするようにペニスを咥えたまま頭を振った。
「もっろ撫れて」
 その言葉に、山田は再び手を動かしだした。前後に揺れる頭に触れていると、愛しさがこみ上げてくる。金髪にしているせいだろうか、少しぱさついている気がするが、それでもその手触りは十分に山田を楽しませた。


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