男のものを目の当たりにすると決心が鈍りそうになるのをこらえて、咲はおずおずと口を開き、舌をのぞかせた。
 震える舌先をゆっくりと男根に近づけていく。
 勘九郎との距離が縮まるにつれ、緊張からか咲の息は荒く、熱いものになっていった。
「はぁ、はぁ、あぁ……」
 汚れを知らない乙女が己のものを舐めようとしているのを見ると、それだけで興奮してしまい、勘九郎は下半身に血液が流れていくのを感じた。
 なにもしていないのにむくむくと膨らんでいくペニスに驚きながら、咲はさらに顔を近づける。
「……あ」
 吐息のようなかすかな声とともに、咲の舌が勘九郎のものに触れた。
 熱い。それが咲の素朴な感想であった。
 思わず舌先をちろりと震わせると、勘九郎のものが大きく跳ねて咲の顔を打った。
 だが、咲はそれにひるむこともなく、心ここにあらずといった風にうっとりとした顔をしている。
「咲?」
「はい」
 心配した勘九郎の呼びかけにも、生返事ばかりでまともな様子ではない。
「あぁ……これが勘九郎様の」
 熱に浮かされた顔で、そのまま舌を動かしだす。
 はしたなく舌を伸ばし、己の顔に擦り付けるようにしながら、ペニスを舐めしゃぶる。
 とても乙女とは思えない咲の痴態に勘九郎のものはさらに硬さを増していく。
 勘九郎の下半身にすがりつくようにして、咲はフェラチオを続けた。
 飽きることなく舐め続けたせいで、ペニスはよだれでべとべとになってしまい、それに顔を擦りつけているものだから、咲の顔もすでにぐちゃぐちゃである。
「咲、そろそろ咥えてくれないか」
 焦らすような舌先での細かい攻めに勘九郎は耐えられず、より強い刺激を求めてしまった。咲を促すように頭に手をやり撫でてやる。
 すると咲は名残惜しそうに顔を勘九郎のものから離すと、とろりとした目でそそり立つものを眺めた。
 しかし、咲は息を荒げてぼーっとしているだけで、動こうとしない。
「咲? どうかしたのかい咲」
「! はいっ」
 勘九郎が幾度か呼びかかると、場違いに元気の良い声が返ってきた。
 きょときょとあたりを見回す咲。
「えっと、あれ、私はなにを……ひゃっ!」
 男根が眼前にあるのに気づいた咲は、悲鳴をあげ、顔を覆ってしまった。
 先ほどまでの淫らな様子は微塵もない。
 どうやら途中から意識がとんでしまっていたらしい。
「こっ、こ、これは、か、か、勘九郎様」
 いまさらというべきか、うぶな乙女らしい反応である。もっとも当人は大真面目なのだろうが。
 顔を真っ赤にしている咲をみたものの、勘九郎も今さらおさまりがつかない。
「さっきまでは夢中だったのにねえ」
 しゃがみこむと咲の頬を優しく撫でてやる。
 思わず状況を忘れて勘九郎に見惚れてしまう咲。
「勘九郎様……」
「さっ、続きをしておくれ。今度は咥えるんだ」
「はい」
 優しい主の態度にようやく落ち着いたのか、咲は興奮しているものの、うろたえた様子がなくなった。
 それでも、まともに男根を見ることはできないのだろう。ちらちらと目をそらしたり、興味深げに視線をやったりを繰り返している。
「それでは……失礼いたします旦那様。ん……ぁ」
 食事のときも楚々としてあまり開かれない咲の口が、はしたないほどに大きく開く。
 艶かしく輝く舌が動いているのが見えて、勘九郎はそれだけで快感を感じてしまった。
 熱い息が亀頭にふりかかるほどに咲の顔がそそり立つペニスに近づいてくる。
 心地よいぬくもりに包まれるのを勘九郎が味わうと同時に、咲もまた熱の塊に口腔を犯される刺激にしびれていた。
 思わず咲がだらしない声を漏らす。
「ふむぅ……あぁ……」
 亀頭を咥えこむと咲の動きが止まった。
 外からはまるでわからないが、舌を動かし雁首にそって這わせる。
「さ、咲」
 勘九郎が予想外に巧みな舌使いにうめき声をもらす。
 しかし咲のほうでは主の驚きなど露知らず、頭の中で以前の教育を思い出し、実行することに必死である。
 歯があたらぬように注意を払いながら、つるりとした感触の亀頭をしゃぶりつくす。
「ぐちゅ、ちゅ、んっ、ふぅぅ……んちゅ」
 あふれ出す唾液を巧みに潤滑油代わりにして、ぬめぬめと舌を動かすと、はしたない音が薄桃色の唇から響く。
 清楚な唇が淫らなくちづけを己のものに降らすのを眺めていると、背徳的な快感が背筋を走りぬけていく。
 勘九郎は初めて自分の得意先の人々の気持ちがわかったような心地だった。
 咲の頭が再び動き始める。
 ゆるゆると肉の幹をその小さな口におさめていく。飲み込む際に、舌を幹に這わせることを忘れない。
 やがて勘九郎の陰毛が咲の鼻をくすぐるほどになっても、その動きは止まらず、とうとう根元まで全部咥え込んでしまった。
 おそらくペニスの先端は喉にまで届いているだろう。なまじの商売女でもここまではできない。
「んんっ……えぅっ、くぅっ」
 咲もさすがに苦しそうな声をあげる。だが、それでも吐き出そうとはせずに、飲み込んだときと同じように、ゆっくりと肉棒を口中から出していく。
「ふぅ、ふぅぅん。えっ、くぅぅ……ちゅぽん」
「咲、あまり無理はしなくていいから」
「大丈夫です。勘九郎様のためならこれくらい辛くはありません」
 涙目になって、口元のよだれをぬぐいながらも、幸せそうに咲は応えた。
「それならよいのだけど。つらいことはしなくてもいいからね」
「そのようなもったいないお言葉を」
 今度は感動による涙目になりながら、咲はそっと勘九郎の男根に手を添えた。
 ある程度コツがつかめたのか、先ほどよりも小さく口を開き、唇でしごくようにして、勘九郎のものを咥えていく。
 今度は一往復ではなく、じゅぷじゅぷと恥ずかしい音をたてながら、頭を動かす。
「ちゅ、ん、んっ。ちゅぅぅ、ふぁ、ん、くちゅくちゅ……じゅぷっじゅぷっ」
 しだいにスピードが速くなり、それとともに水音が増していく。
「おぁっ……咲……」
 うっとりとした主の声に、咲の動きがますます早くなる。
 もちろん、腔内では舌が動き回り、膨れ上がって幹に絡みついている血管や、かさを大きく開いている雁首を味わい尽くす。
 初めてとは思えない咲のフェラチオに勘九郎の快楽がみるみる高まっていく。
 しかし、ここで達することが目的ではない。
 自制心を振り絞って咲の口から、己のものを抜き取った。


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