「北条さんがあんなに頑張ったんだから次は僕の番だよね」
 勝手に宣言すると、吉村は舌を香織に這わせだした。
 胸元の白と褐色の日焼けの境界線にゆっくりと舌で触れたのを皮切りに、じっくりと味わうように香織を舐めつくす。
 まず左側の鎖骨をなぞり、胸をとおり、わきに到着する。同じように右側も丹念に愛撫していく。
 舌が動くたびに香織の体は小刻みにふるえ、可愛らしく反応した。
 おなかのあたりに舌がやってくると、香織の体が硬直した。
 なぜなら、そこは香織が誇らしく思うと同時に、嫌悪している部分でもあったからだ。
 普通の女の子とは違う部分。割れた腹筋は鍛え上げた自分の証であり、女らしくない自分の
証でもあった。 「そ、そこはいいよ……そんな男みたいなところ」
 香織が弱々しく恋人をとめようとする。
「どうして? ぜんぜん男みたいじゃないよ。すごく、すごく綺麗だ」
 腹を割っている線にいとおしげにくちづけした吉村は、今まで以上に執拗に口を動かした。
「……っ、ふぁっ、あっ、くぅぅ」
 触れられた部分への嫌悪感がどんどん消えていく。残るのは誇りだけ。香織はくすぐったいような、気持ちいいような、妙な心地で吉村に感謝していた。
「ひゃっ」
 おへそを舐められた香織が悲鳴をあげたのをきっかけに、吉村は香織のお尻に手を回し軽く持ち上げた。
 香織の足は自然と開かれてしまう。当然、大事な部分は丸見えだ。
「ちょっ、吉村っ! 見るなっ、やめろっ」
 ぱっくりと開かれた足を閉じようともがく香織だが、普通の体勢ならともかく、今のような格好では力がまるではいらない。
 しかし、吉村は吉村でなにを考えているのか、なかなか香織自身に触れようとはしない。ただ、じっとそこを見つめるだけだ。
 すると香織はモデルをしていたときよりも激しい視線を感じ出した。しかも今度は本当にそこを触られているような感覚さえする。
 じっとりと、体の奥から蜜が湧き出した。
 その様子を見ても吉村はまだなにもしようとしない。いや、顔を近づけて匂いを嗅いでいるようだ。
 ひくひくと鼻を動かすと、鼻腔を通り抜けた匂いが直に脳を刺激する。
 初めて嗅ぐ馥郁たる女の香りは吉村を夢見心地にさせた。
 が、その行為は香織にとっては羞恥を煽ることに他ならない。にもかかわらず、なぜか快感は増していくばかりだ。
 やがて、香織の秘所に溜まっていた愛液は限界を超えたのか、とろとろと重力にしたがって流れだした。ひきしまったお尻の割れ目にそってこぼれていき、とうとううっすらと色素の沈着した小さなすぼまりにまで達する。
 その頃になると、香織から普段の強気さはなりを潜め、ただ弱々しい声しかでなくなっていた。
「吉村ぁ、本当に恥ずかしいんだ……」
 小さな声が耳に入ったのか、吉村がおもむろに動いた。
 しかし、香織が想像したように手を離したのではなく、指でそこに触れたのでもなかった。
 吉村は、さらに香織のお尻を持ち上げると、自分はそのままの格好で首を伸ばし、香織の秘所にむしゃぶりついた。
「そんなところ、んっ! くぅ……ひっ、だめ、だっ」
 初めて味わう女の味に、吉村は夢中で舌を動かし、音をたてて蜜を吸った。
 一方、香織ももっとも敏感な部分をいじり、舐めしゃぶられて頭が羞恥と快感でどうにかなりそうになってしまう。
 やわらかい肉ひだをうねうねと動く舌が掻き分けていくたびに、背筋がのけぞり、かみ締めた唇からは堪えきれずに甘い悲鳴が漏れる。
 偶然、歯がひっかかり、包皮から埋もれていたクリトリスが顔を出すにいたって、香織は恥も外聞もなく吉村の頭にしがみついた。
「も、もうっ、本当にこれ……以上はだめ、らめらっ!」
 切羽詰った香織の様子に、さすがに吉村も顔をあげた。口元は香織の体液でぐしょぐしょになっている。それを手で拭うと、真剣な表情で香織を見つめた。
 香織は今までに感じたことのない感覚を受け止めきれずに泣いていた。ぽろぽろと涙をこぼしている。
「怖いよぉ。吉村ぁ、なんだかおかしいんだ。あたし、あたし・・・」
 吉村が優しくキスをしてやると、香織はわずかに安心したようだった。しゃくりあげるのが止まった。
「いまからするよ。初めてはつらいって聞くけど、できるだけ優しくするから」
 恋人の言葉を全面的に信頼しているのか、香織は黙ってうなずいた。
 それを合図に吉村が腰を動かし、挿入しようとする。しかし、初めてで緊張しているせいか、なかなか上手くいかない。
 濡れた表面をこするばかりで中に進入できず、失敗の数だけ香織が嬌声をあげた。
 幾度目かの挑戦の末、ようやくこれまでにないぐらい硬くなった自身の扱いに慣れたのか、香織の入り口に亀頭がわずかに沈み込んだ。
 はぁはぁと香織の呼吸が吉村の耳に届く。それにリズムを合わせ、一息にペニスを香織の中に沈めた。
 香織の中は素晴らしい締め付けだった。他人をなかなか受け入れない性格そのままに、媚肉は吉村の侵入を拒む。しかし、一度ペニスを許してしまうと、きつすぎるといってもいいほどに、きゅきゅうと初めての男を捕まえて離そうとしない。まさに香織そのものだった。その上、内側のひだが常にうごめき、間断なくペニスを刺激する。香織の引き締まった身体をつくった空手は、こんな部分にまで極上の影響を及ぼしていた。
 目をぎゅっと閉じ、初めてを堪える香織。縋るものを求めて、その手は自然と吉村の背中にまわされていた。
「くぅぅぅっ」
 香織が眉を寄せ、破瓜の痛みに耐えるそぶりをみせる。
 あまり刺激しないように、吉村もぴたりと動きを止めた。
「どう? 痛い?」
 ただ体を硬くしている香織を案じて、吉村が声をかける。
 しかし、香織はゆっくりを首を振った。おそるおそる閉じられていたまぶたをあげた。
「……痛くない」
「へ?」
「全然」
「え?」
 予想外の展開に、吉村は間抜けな受け答えしかできない。
 ぼんやりしたままでいると、香織が困惑した顔で口を開いた。
「なんだか変なっ、あっ……感じはするけどぉっ、痛くはない。は、初めてって痛いものなんだろう? なんで? あたし、本当に初めてなのに、なんで? 嘘なんかついてないのに、痛くないよぉ」
 激しい運動をしているうちに、処女膜がなくなってしまうということがある。香織の場合は厳しい空手の練習中になくなってしまったのだろう。
 しかし、そんなことのわからない香織は、自分が嘘つきだと疑われるのではないかと怯えている。
 そんな香織を吉村は強く抱きしめた。
 自分を包み込む力に香織は安堵する。
「大丈夫。嘘ついてるなんて思ってないから安心して。初めてが痛くなくてよかったよ。北条さんを苦しませなくてすんだんだからさ」
 きゅっと自分に覆いかぶさる体にしがみつき、泣きそうな声で香織が言った。
「……吉村ぁ」
「かっこつけすぎてるかな?」
「ばか」
 言葉の意味とは裏腹に、それを言った香織は幸せそのものだった。
「動いていいかな」
「うん」
「良かった。じっとしてるだけで気持ちよすぎて、北条さんを気持ちよくさせてあげられなくなりそうで」
 香織は照れ隠しに怒鳴ろうとした。しかし、それはかなうことがなかった。
 おそるおそる吉村が腰を動かし始めたからだ。
「ひぁ! ……あっ」
 ぱくぱくと香織があえいだ。
 破瓜の痛みがなかったとはいえ、初めてに変わりはない。
 隙間なくペニスに絡みついた柔肉をこすられて、声にならない声をあげる。
「痛い?」
 ぷるぷると首を振る香織。
「ち、違う。……電気が走ったみたいになって」
 吉村は安心して再び動き始めた。


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