ぽかんと口をあけて、呆然と見つめる。
「さすがにそんなに見られると恥ずかしいんだけど」
 とは言うものの、吉村は隠そうとはしない。
「どうすればいい?」
「とりあえず……手でしごいてもらうとか」
「こっ! これを!?」
 香織が大きくのけぞった。
「いやだったらいいけど」
「あたしがやるって言ったんだからやる」
 ベッドから降り、吉村の足元に座りこむ香織。
 顔をそむけ、できるだけ見ないようにしながら、香織はペニスに手を伸ばした。
 しかし、触れる寸前で手が止まってしまう。
「やあっ!」
 場違いな気合を発すると、香織の手が素早く動き、勃起したものを握り締めた。
 驚いたのが吉村である。まるで加減せずに勢いよくこられたため、握りつぶされるかと思うほどに痛い。
「ぎょぉおっ! 痛い! 痛いってば、もっと力抜いて優しく」
 情けない悲鳴をあげるがこれは男なら仕方ない。
 顔を真っ赤にしながら、申し訳なさそうに香織が力を緩める。
「ごっ、ごめん! 加減がわからなくて。ここからどうすればいい?」
「そのまま上下に動かしてくれると嬉しいんだけど」
「わ……わかった」
 ごくりと生唾を飲み込むと、香織はがしがしと荒っぽく握り締めたそれをしごきたてた。
 途端に吉村が二度目の悲鳴をあげる。
「いっ! 痛いっ!」
「ご、ごめん!」
 ぱっと手を離した香織は、おそるおそる自分の握っていたものをちらりと見ると、即座に視線をそらせた。
「もっと優しくしてくれると嬉しいな。ここは急所だし」
 正確には睾丸が急所なのだが、敏感な部分ということに違いはないだろう。
 現に、吉村の目には涙が滲んでいる。
「なんでこうなんだろうあたしは……。がさつで……」
 香織は度重なる失敗に頭を垂れて落ち込んでしまう。
「だれだって始めてはしょうがないよ。慣れればいいだけだし」
「なっ、慣れるかな」
 うつむいた香織のほほに朱が走るが、吉村からはつむじしか見えない。
 吉村も言ってはみたものの、慣れている香織が想像できない。むしろ慣れないままのほうが可愛いかな、とやくたいもないことを考えてしまう。目の前の少女に知られたら正拳が飛んでくること間違いなしだ。
「……とりあえず、もう一回してもらえる?」
「う、うん」
 吉村のものはダメージを負ったことを微塵も感じさせずに、そそり立っている。
 今度はゆっくりと、しかし目はそっぽを向いたままで、香織はペニスを包み込むようにして触れた。
「痛くないか?」
「うん。大丈夫」
「よし……それじゃあいくぞ」
 わずかに不安をおぼえた吉村だったが、今度は三度目の正直というやつだった。
 しゅにしゅにと皮のこすれる音が聞こえるたびに、ペニスに血液が流れ込みさらに硬く、大きくなる気がする。
「これでいいのか?」
 真剣な様子の香織なのだが、やっていることがやっていることだけに、どことなく間抜けな感じがする。
「気持ちいいよ。北条さん。好きな人にされるのってすごく気持ちいい」
「そんなのは言わなくていいっ!」
 ぎこちなかった香織の動きもしだいに滑らかになっていった。
 それにつれて吉村の息も荒くなっていく。
「北条さん」
「なんだ」
「その、今度は……口でして欲しいって言うのはだめかな」
「口で? なにを?」
「僕のを舐めて……」
「変態っ!?」
 勢いよく顔をあげた香織が叫んだ。
「いいっ! 違うって。けっこう普通のことのはず……だと思う」
「本当に? 私をだますつもりじゃないだろうな」
 眉をよせ、あくまで疑う香織。はっきりいって香織の性知識は小学校の性教育に毛が生えたようなものである。そんな世界にいればフェラチオなどはアブノーマルな行為にしか思えないのだろう。
 見つめられることに耐え切れなくなったのか、吉村が手をばたばたと振った。
「無理ならいいよ。全然いいから」
「いや、あたしも女だ。他の女がしてるなら負けられない。どうすれば気持ちいいんだ?」
 勝ち負けの問題ではないとは思うものの、せっかくその気になってくれたのに水を差すほど吉村も枯れてはいない。
「えっと……口でくわえてしごいたり、舐めたりすればいいと思う。それじゃあ、よろしく」
 よろしくされてもおいそれとできるものではない。
 口に含むとなれば、さすがにそれを見ないわけにはいかない。
 血管が浮いて、痛いぐらいに勃起したペニスをまんじりともせずに見つめる。
 眉はしかめられたままで、とても色事の最中とは思えない。
「ほんとに無理ならいいから」
 心配した吉村の声も耳に入らない。
「あー」
 がぱりと口を開け、ゆっくりと口元を近づけていく。
 ちらちらと香織の舌が口の中で動いているのが吉村に見えた。それが今から己のものにからみつくのだと思うと、それだけでイッてしまいそうになる。
 香織は緊張しているのか、呼吸の感覚が短い。はぁはぁとかすかな息遣いが部屋の片隅に響く。
 そのため、吉村はペニスで香織の息遣いを感じ、その緊張ぶりを察することができた。
 開かれた香織の唇から舌が顔を出した。いつのまにか香織の瞳は閉じられている。まつげが小刻みに震えていた。
 少しずつ、香織の口元に吉村の勃起したものが近づいていく。
 すえたオスの匂いが香織の鼻を刺した。以外にもそれほどいやな匂いだとは思わない。
 もう、吉村が香織の舌先の熱を感じられるほどの距離に達し、粘膜同士が触れようかという瞬間。
「や、やっぱり恥ずかしくて無理だっ! できない!」
 真っ赤な頬をさらに染めて、香織が顔を上げた。今にも泣きそうな顔をしている。
「こ……今度までには絶対にできるようにするから、練習するから……今は許して!」
 それほど恥ずかしいのを堪えて、そこまで頑張ってくれたことだけで吉村は満足だった。
 そして想いが堪えきれずにあふれ出る。
「ああ! いつもはあんなに凛としてかっこいいのに、今はこんなに可愛いなんて! それも僕のために!!」
 吉村が確実になにかを踏み外した。
「馬鹿なこと言ってんじゃないっ!」
 暴れようとする香織をベッドに引き上げると、キスをしながら押し倒す。
「んむ! んっ……」
 とたんに香織の体から力が抜けていく。


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