「もうそんな風に勘違いされないように、いい加減ちゃんと薫を僕のものにしないとな」
 僕は勢いに任せて言い放つと、薫にのしかかった。
「桐野!」
「できるだけ力を抜いて」
「おっ、おう」
 返事をしたものの、彼女の体は明らかに力が入りすぎて強張っている。
「全部僕に任せればいいから、楽に」
 こくりとうなずくも、やはりカチカチのままだ。
「大丈夫か?」
「桐野に任す、桐野に任す……」
 消えそうに小さな声でそれだけを呟き、まぶたをおろしている。長いまつげが小さく震えていた。まだ先ほどの雫が残っている。
 拳をぎゅっと握った手を胸元で合わせて固まっている姿は、なにかに祈っているようにも見える。
「……いくぞ」
 なるようになれと、半ばやけくそで僕は自分のものに手をそえ、彼女の秘所に合わせた。
 先端が濡れるのを感じると、そのまま勢いよく腰を沈める。
 一息に入ってしまうほうが痛みは少ないだろうと考えたからだ。
「っ……!」
 未知の体験への恐怖からだろうか、薫が息を吸い込む音が妙にクリアに聞こえた。
 外があれほど潤んでいたから入りやすいだろう、と思っていた僕の考えはあっさりと覆された。
 彼女の中は入り口からきつかった。
 僕の侵入を拒むように狭く、きゅうきゅう僕を締め付けてなかなか奥へ行かせない。
「ぃっ……!」
 かすかな呻きが薫の噛み締めた唇から漏れる。
 その瞬間、僕は素早く息を吸うと、力を込め一番深い部分へ自身を押し込んだ。
 まだ何も通ったことのない場所を、きちきちの淫肉を押しのけて通る。
 きっと名器というやつなのだろう。
 一度進入を許したそこは、まるで僕のすべてを吸い取ろうというように、怪しくうごめき、僕のものに絡みついてくる。
 しかし、経験のない今は持ち主に苦しみを与えているだけだった。
「……桐野、桐野、桐野……」
 薫が、まるでそれを唱えれば破瓜の痛みがなくなるというように、僕の名前を呼び続ける。
 いつのまにか、僕の首に彼女の腕が回されていた。
 かなり強い力で抱きつかれているのに、気がつかなかったとは。
 僕もかなりいっぱいいっぱいだったらしい。
 彼女の気性のように、中は熱かった。
 つながった部分から、体温が伝わってこちらの温度まで上がりそうだ。
「全部入ったぞ」
 そう告げても、薫は懸命に瞳をとじて、痛みに耐えているだけだ。
 目じりには涙が光っている。
「我慢できなかったら言えよ。すぐに抜くから」
「い、痛くない……」
 薫は顔をゆがめて、呻くようにそう言った。見るからに痛々しい。
 これで平気なんだと思うやつがいたら、そいつの顔を見てみたい。
「そんな苦しそうな顔してて、痛くないとか信じられないって」
「ほ、ほんとだ……バ、カ。全然……痛くないから、う、ごけ……」
「こんなときにまで意地張らなくてもいいから。抜くぞ」
 僕が体を動かそうとすると、薫がしがみついてきた。
「だ……めだ」
「なんで!?」
「桐野が、イッて、な……いから」
 喋る薫の瞳から涙がぽろぽろとこぼれた。
 それを見た僕の胸がきゅっと締め付けられる。
 なんでこいつはこんなに必死なんだろう。
「あたしのことはいいから」
「ほんとに無理しなくていい」
「大丈夫……って、言ってるだろ……ボケ」
 本当はよほど痛いのだろう。涙で顔を濡らしながら笑おうとする薫が愛おしくてたまらない。
 ああ、ちくしょう!
 こうまで言われたら言うとおりにするしかないじゃないか。
 それに、心配している僕の心とは裏腹に、体は今も僕を締め付ける薫でイキたいと感じている。
「もうなにを言ってもイクまでやめないからな」
 にっ、とおかしそうに薫が笑った。
「こっ、ち、のセリフだ、バカ。桐野がイクまで、離さ、ねぇからな……」
 きつい締め付けに耐えながら、僕はゆっくりと腰を前後に動かし始めた。
 僕がピストンすると、薫が眉をしかめ、のけぞる。
 そのたびに、僕の良心がわずかに悲鳴をあげたが、すぐに彼女から与えられる快感に打ち消される。
 苦しそうな薫には申し訳ないが、僕は蕩けそうだった。
 とても初めてとは思えない反応で、小さく細かいひだに包まれ、優しく愛撫されているような心地を味わったかと思うと、穴全体で痛いぐらいに締め付け、強い摩擦で強引に快楽に引きずり込もうとする。
 出したくても、あまりにきつい締め付けで出させてもらえないのではないか、と思うほどだった。
 雁首が彼女の中をえぐり、道をつくっていく。
 やがて、ちゅくちゅくと、僕のものに押しのけられ溢れた愛液が卑猥な音を立てだすと、僕の腰は滑らかに動き出した。
 そして、その音がぐちゅぐちゅに変わるのはすぐだった。
 僕が夢中で腰を動かしていると、次第に薫の様子も変化しだした。
 回数を重ねるごとに、わずかずつではあるものの、痛みが薄れてきているらしく最初ほど苦悶の色は見られなくなっている。
「痛くないか?」
「最初から痛くないっつってんだろ」
 声に張りが戻っている。
 どうやら、だいぶましになったみたいだ。
 頬も上気している。
「ふぅん。やっぱり変態だから気持ちよくなるのも早いのか」
 変態、の部分で今まで以上にあそこがきゅっと締まる。
「あっ、あたしは……」
「変態だろ」
 断言してやると、薫が、ぐっ、と言葉につまる。
 彼女は僕に密着すると胸元でささやいた。
「お前のせいだからな」
 顔は見えないがきっと、怒ったような、拗ねたような顔をしているに違いない。
「最初から変態の素質があったんだって」
 また締め付けが強まった。
 どうやら苛めるほどにあそこの反応が良くなるらしい。
 まったくやっかいな相手だ。
「違うっ!」
「僕のせいか。よし、それじゃあ変態にしてしまった責任をとろう」
 いきなり僕は彼女の乳首をつねり上げた。
「ひっ……ぃいい」
 甲高い声で鳴くのと同時に、淫らな動きで肉穴全体が蠕動して僕の射精を誘った。
 彼女の反応に僕は満足する。


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