喜多を抱きかかえると、一番近くの机に運んで腰掛けさせ、ぐにゃぐにゃとまるで力の入らない彼女をゆっくりと倒していく。
 ここが保健室ならばベッドもあったのだろうが、残念ながら図書室ではしかたない。
 馬鹿でかい机があるだけましか。
 僕は桐野のセーラー服の裾に手をかけた。
 喜多の体にかすかに力が入るのがわかる。緊張しているのだろう。
 だが、脱がさない。こんなところで彼女を全裸にするわけにはいかない。
 するりと両手を服の中に滑り込ませる。もちろん中に着ているシャツのさらに下にだ。
 滑らかな肌触りの喜多のおなか。
 荒い息のせいか、忙しく上下に動いている。
 僕は焦らすようにゆっくりとおへその辺りを撫でまわす。
 指が胸のほうへ動くたびに、びくりと喜多が震えた。
 幾度かそんなことを繰り返すうちに、喜多が弱々しく僕の腕をつかんだ。
「そんなに……苛めんな……」
「お願いしますは?」
「……お願いします」
 これは癖になるな。僕の背筋をぞくりと何かが走っていった。
 わき腹を愛撫するようにしながら、僕はじわじわと手をセーラー服の奥に突っ込んでいく。
 ブラジャーに指先が触れた。
 ホックをはずしもせずに、無理やり指をブラの下にねじ込んでいく。
「んっ……」
 喜多が身じろぎをしたが、気にせずに強引にブラをずらす。
 しっとりと汗ばんだ、柔らかな丘がセーラー服の下であらわになった。
 生でじっくりと眺めたいところだが、こんなところで喜多を裸にするのは危険すぎる。
 僕は断腸の思いで邪魔な制服を剥ぎ取るのをあきらめた。
 それでも、僕の腕が入り込んでいるせいで、セーラー服はめくれ上がり、喜多の可愛らしいおへそが見える。
 今はこれで我慢しておくか。
 心の中でつぶやくと、僕は喜多の胸に手を伸ばした。
 なだらかな丘を掌で覆うようにしながら、ぽよぽよと柔らかい感触を楽しむ。
 喜多の胸は掌に収まる程度で、それほど大きくはなかった。いいとこBだろうか? どちらかというと……。
「けっこう小さいな」
 思わず声に出してしまうと、喜多が敏感に反応した。
 切れ長の鋭い瞳に力が戻り、僕をキッとにらんだ。
「うるせぇ」
「事実を言っただけじゃないか」
「これ以上言うとぶん殴るぞ」
 まだこんな元気があったとは。
 僕はおしおきと、僕自身の楽しみのために、喜多の乳首をつねり上げてやろうとした。
 が……。
「ん?」
 思わず間抜けな声が出てしまう。
 あるべき場所に、あるべきものがないのだ。
 確かめるように指を滑らせて、胸の頂上に触れる。
 滑らかな肌があり、その中心で肌触りが少し変わる。これが乳輪のはずだ。
 そしてそこには突起があるはずなのに……
「乳首がない?」
 僕は思わずつぶやいた。
 すると、喜多は大きく体を震わせた。これまでのような快感を堪える動きではない。なにかに怯えるような動きだった。
 再度、確認のために乳首があるであろう辺りを指でさする。
「あ……っん」
 喜多が切なげに身じろぎをしたが、それでもそこにはなにもない。
 ……いや、なにもないことはない。線? くぼみ? なにかがある。
 これはもう自分の目で確かめるしかない。
 こうなったら我慢もくそも無い。
 僕の動きを察したのだろうか、喜多がいまだ枷のついたままの両手で不自由そうに胸をかばおうとした。
「喜多さん。手をどけて」
「だ、だめだ」
「喜多さんは奴隷だよね」
「それでも」
「奴隷だよね」
 その言葉であきらめたのだろう。眉をよせ、いまにも泣きそうな顔をして喜多の腕から力が抜けた。
 すばやく制服を脱がせ、中途半端に肌を隠しているブラを剥ぎ取る。
 染みひとつ無いきれいな肌だ。タバコを吸っていたのに、ここまですべすべの肌を持っているとは。
 いや、そうじゃない。胸だ。
「……あ」
 僕の唇から間抜けな声がもれた。
 喜多の胸には乳首がなかった。
 いや、正確に言うと、まだ埋もれているのだ。
 控えめなサイズの丘の中心にはぷっくりとふくらんだ薄いピンクがあり、そこには一筋の線がある。
 初めて見た。これが噂には聞いていた陥没乳首というやつか。
 なにぃ、それではあれが噂に聞いたことがある漢歩通血躯火! 知っているのか雷電。うむ。あれこそは中国拳法の秘伝中の秘伝。古代中国においてもっとも良い乳首とされ、そのあまりのエロさに皇帝をはじめ多くの貴族が夢中になり、その精力を吸い尽くされてしまったという。あまりの事態に時の官僚がそれを禁止したというが、よもやその乳首の持ち主をこの目で見ようとは。なんだってー! それじゃあ桃は……。
 違う! 桃じゃない!
 予想外の事態にしばし頭が混乱してしまったが、改めて見てみると……ものすごくいやらしいぞ。
 思い切りいじりたい。舐めたい。
「……気持ち悪いだろ」
 喜多が眉を八の字にして悔しそうに呟いた。
「え?」
 僕は予想外の言葉に唖然としてしまう。
 喜多の胸を見てから調子が狂いっぱなしだ。
「いいよ。別に。前にも気持ち悪いって言われたしな」
「なんだって?」
「こんな変な胸気持ち悪いって思ってるんだろ」
「違う。誰に言われたんだよ」
「昔、好きだった先輩に」
「その先輩とはしたのか」
 なぜか硬い声がでた。
「……」
「答えるんだ」
 黙りこんだままの喜多を追い込むように、言葉を重ねる。
「……してない。胸を見られたときに変な胸だって言われて、それで全部台無し。服つかんで逃げたよ」
 なぜかわからないが、少しほっとした。
 違う。なぜかわからないというのは嘘だ。きっとわからないフリをしているだけなんだろう。
 僕は自分をごまかすために、その先輩のことを考えた。
 会ったことのない先輩とやらを頭の中で百万発ぶん殴り、怒りをこらえる。
 そうしてから小さく息を吐くと、言葉のかわりに行動で表すことにした。
 喜多の胸に吸い付いたのだ。
 もちろん場所は決まっている。
「あ……」
 喜多の口からかすかに息が漏れた。
 僕はちゅぷちゅぷといやらしい音をさせながら赤ん坊のように胸を吸った。
 こんな卑猥な吸い方をする赤ん坊はいないか。


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