彼女の様子を窺うと、いつの間にか目を閉じている。彼女にしてみれば、僕の顔を見ながらオナニーなど耐えられないのだろう。
 すぐに彼女の息が荒くなっていく。刺激自体はかすかなものだろうから、僕に見られているというシチュエーションに興奮しているのに違いない。
 最初は触れるているだけだった中指が、いつの間にかあの柔らかい部分に沈み込んでいる。本人も気づかないうちに、より強い刺激を求めてしまっているのだ。
 しゅにしゅにと軽い音を立てて動いている指を見ていると、なぞっている部分の色が次第に濃くなってきだした。それとともに、ショーツをこする音が湿り気を帯びていく。
「喜多さんってやっぱりエロいな。もう濡れてる」
「んっ、ふっ、そんな訳あるかっ……っ」
 甘い声が混じっているにもかかわらず、喜多が虚勢を張る。
「そうかな。自分で見てみたら一発でわかるのに。下着が濡れてるの」
「んな……とこっ……あっ、ん、見れるか」
 ご主人様になんたる口の利き方だ。許すわけに行かない。
「だめだ。目を開けてちゃんと自分で見るんだ」
 そう言っても、彼女は嫌々をするように首を振るばかりで目を開けようとはしない。
「薫、見るんだ」
「はいっ、ん、くっ」
 おずおずとまぶたを上げながら、喜多が視線を下ろしていく。
 名前を呼ばれるとスイッチが入るのか。なんだかパブロフの犬を思い出してしまう。
「ほら濡れてるだろ」
「濡れて、ますっ」
 消えそうな声で僕に報告する間も、彼女の指は動いている。くちくちという粘液質な音が大きくなってきた。心なしか、先ほどよりも早くなっている気がする。
「ということは気持ちいいんだ」
「気持ち、っあ、いい」
「それじゃあもっと気持ちよくなろう。その下着をずらして直接触るんだ」
 すでに僕の言葉には逆らえなくなっているのか、喜多はなんの文句も言わず、濡れたショーツをずらす。
 黒々とした毛が姿を見せた。濡れて淫靡に光っている。
 その下には、ふっくらと盛り上がった秘所があった。すでに潤っているせいで、わずかにほころんで綺麗なピンク色が見えている。
 期待で震える喜多の指が、そこに触れた。
「ひっ――!」
 今までのようなもどかしいものではない、強烈な刺激に、喜多が腰を浮かせた。切なげに唇をかみ締めて耐えている。
 動かない喜多に声をかける。
「ほら、固まってないで指動かさないと」
「はっ、はひ」
 息も絶え絶えに返事をすると、喜多は命じられるままに指を動かし始めた。
 しかし、その動きは布地越しにいじっていた先ほどまでとは違い、鈍く、恐る恐るといった動きになってしまっている。
 それも当然かもしれない。指が上下するたびに、小さく悲鳴を漏らすほど感じているのでは。
 溢れる愛液の量が次第に増え、内ももを伝ってベッドのシーツに染み渡っていく。ショーツはとっくの昔にぐしょぐしょになっている。
 指を中に沈めることもなく、外側をこすっているだけなのに、大した感じぶりだ。
「んくっ、ひっ、あぁ……。ふぅっ……んっ」
 目を閉じるなと言ったせいで、彼女の視線はふらふらと落ち着きなくさまよっている。時折、こちらに向くこともあるのだが、すぐに逸らされてしまう。
 敏感すぎる体を持て余しながら、必死に股間をいじる喜多。僕に見られていることを気にする余裕はもうなくなっているようだ。
「そっ、そんなにっんんっ、じろじろっ、見んなぁ……」
 前言撤回。やはり僕の視線は気になってしょうがないらしい。
「いや、見るためにやってもらってるんだから」
「ボ、ケっ」
 こんな状態でも憎まれ口は叩けるようだ。
 それならもっと敏感な部分を責めさせよう。
「まだまだ元気みたいだ。ほら、あそこの上のほう、クリトリスを弄るんだ」
「クリ……? っつ、そこはぁ、かっ、感じすぎるから」
「僕はご主人様だろ」
 僕のキメ台詞の前に、喜多は甘い悲鳴の中に、よだれに濡れた唇を嫌らしく動かして、死ね、と言った。それで、素直に指は目標に向かっていく。
 慎ましく皮に包まれた突起に指が軽く触れた途端。
「んひぃっ!」
 口の端からよだれを垂れ流しながら、喜多の腰が大きく跳ねた。腰が宙に突き出され、がくがくと震えると、ベッドを軋ませて落ちる。
 腕がくたりと力なく投げ出された。
 軽くイッてしまったのに違いない。包皮の上からで直接刺激もしていないのに。これで剥いたらどうなることやら。
 だらしなく口を開けている横顔は汗ばんでいる。
 頬に触れると、幸せそうに笑った。
「桐野――」
「休んでいいなんていってない」
「このっ、はぁ……っん、くあっ、……」
 全身の力を総動員して、喜多がゆっくりと指を股間に戻していく。
「よし、次は剥いてみようか」
「な、にを……?」
「クリトリス」
 僕の言葉に、彼女はびくりと体を震わせる。自分がどうなってしまうのか、考えただけでぞくぞくするのだろう。
「で、でも……ろうやって」
「まったく。全部僕が説明しないといけないのか」
 心優しいご主人様であるところの僕は、喜多の指をとると、秘部の上のほうにある突起にあてがってやる。
「これを指ではさんですればいい」
 僕の指が体に触れると、喜多がそれまでとは違った幸せそうな表情を浮かた。自分で触れるのと感じ方が違うのだろうか。
「もっ、もうこれ以上……気持ちよくなっらら、あらしもうらめだ」
 クリトリスをつまんでいるだけで、達しかけているのだろう。喜多はよだれをこぼさんばかりの恍惚とした顔になっている。
「気持ちよくなってる喜多さんが見たい」
「き……きりろが言うなら、す……る」
 ぐっとくるようなことを言いながら、喜多が指をわずかに動かした。
「いっ、ひっ……! くぅぅぅぅっ! あっ、あ……あぁ――」
 唇を食いしばり、なんとか声を漏らすまいとしているのだが、まったく無駄な抵抗だった。喜多は先ほどよりも激しく空腰を使いながら絶頂に達する。
 もはや座っていることもできなくなったのか、ゆっくりとと壁からずり落ちていく。力の抜けた体がだらしなくベッドの上に放り出された。
 相変わらず薄い胸を上下させながら、喜多は荒く息をついている。
 ずらされた下着の脇では、陰毛が濡れて艶々と光っている。左右の丘がわずかに開いて、中のピンクが僕を誘うように姿を見せている。
 あそこの桃色がイく前よりも濃くなっているような気がする。彼女の呼吸に合わせて、開いたり閉じたりしているのとあわせて非常に美味しそうに見える。食べごろという言葉がぴったりだ。


進む
戻る

作品選択へ戻る