「……あ?」
「セックス」
 まるで熱した鉄のように、喜多の顔が真っ赤になった。
 僕の目の前であれだけのことをしておいて、いまさらなにを恥ずかしがっているんだか。
「匂いが移るとか気にしてたけど、もう無理。我慢できない」
「えっ? 桐野っ? ぅわっ!?」
 うつ伏せになっている彼女を、先ほどとは逆に、仰向けに転がす。まだ体が自由にならないらしく、あそこを隠すこともなく、上気した顔で、そこだけ元気な目でせめてもの抵抗とばかりに僕を睨んでいる。
 シャツ越しに、控えめなふくらみを楽しみながら、ズボンのベルトに手をかける。
 金具の音を聞くと、こちらが本気なのを知ったらしい。喜多が必死に僕を思いとどまらせようと説得にかかる。
「まっ、待て、な? ちょっとぐらい休んでからっ、つーかあらしにあんなことさせたのはここでしないためらろっ」
「そうだったんだけど、好きな相手のあんな姿見てたら我慢できなくなった。ほら、元気に満ち溢れた若者だから」
「好きって……」
 自分で繰り返しながら、うっとりとした表情になる喜多。相変わらず好意に弱い。
 その隙に服を脱ぎ終えた僕は、彼女の上にのしかかった。
 自分の上にのしかかる影に気づき、喜多が正気に戻る。
「あっ、ちょっ、桐野、心の準備がっ……」
「体の準備はできてるだろ」
 膝の裏に手を入れるようにして、両足を広げる。丸見えだ。なにが丸見えかは言わないのが紳士というものだ。
 潤みきって、とろけんばかりになっているあそこに我慢できなくなった僕は、腰を突き出した。
「っあ、やだ、あっ、んんにゃぁぁ――」
 珍しく可愛い声で鳴きながら、薫が身を震わせる。僕が奥に侵入するにしたがって、表情が劇的に変化していく。気の強さを表す強い光を宿した目はうっとりと細められ、きつく結ばれていた唇はあっという間にほころんで、淫らに開かれている。
 ぴったりと腰を合わせると、僕は薫の唇を舌で撫でてやった。
「今の声、なんか凄かった」
「うっせぇ」
 さすがに、自分の出した声が恥ずかしかったのか、薫がぶっきらぼうに答える。
「珍しく可愛かった」
「可愛い……? あたしが?」
「うん」
 僕が返事をすると薫の中がきゅっと締まった。
「っつぁ……つうか、珍しくってろういうっ、んぁ、ことだよ」
 僕は失言を誤魔化すために腰を動かすことにした。
 初めてのときと変わらずに、いや、回数を重ねるほどに喜多の柔肉は激しく僕のものに絡み、吸い付いてくる。僕のものにぴったりと合う形にでもなっているのだろうか。こんな部分まで健気な薫を愛しく思いながら、ゆっくりと彼女の奥を突く。
 ちゅぷちゅぷといやらしい音がたつのが恥ずかしいのだろうか。薫は目を閉じながらあえいでいる。
 いつまで経っても快感に慣れる様子のないのが、嗜虐心をそそる。
 心地よい淫肉の感触に夢中になりかけたとき、僕はあることを思い出した。そういえば、まだ彼女の胸を弄っていない。
「喜多さん、気持ちいい?」
「そっんな、ことっ……んあっ、聞くなっ! ……くぅぅ」
 彼女の返事から察するに、満足していただいているらしい。
 しかし、サービス精神旺盛な僕はさらなる満足を提供したくてたまらない。
「もっと気持ちよくしてあげるから」
 僕がシャツに手をかけると、彼女も僕の意思を悟ったらしい。
 嫌々をするように顔を振る。しかし、それは僕の目にはよがっているようにしか見えなかった。ということにしておこう。
「喜んでもらえたみたいだ」
「いっ、ちが……ひっ、もっ、いいからっ――」
 薫が抵抗しようとするも、僕に一突きされると、あっという間に体が言うことを利かなくなったようだ。こちらのなすがままになってシャツをめくられてしまう。
 手早くシャツとブラを脱がせると、小さな丘に、相変わらず恥ずかしがり屋の先端がきちんと二つづつ、変わらずにあった。
 ぷっくり膨らんだ乳輪をしばし鑑賞すると、そこに吸い付く。
 舌が胸に触れると、薫はびくりと身を震わせた。これから自分を襲う快感の波に備えようとしたのだろうか。
 しかし、僕が胸にある小さな筋に舌を這わせると、甲高い声を漏らす。
 胸を刺激するたびに、それに合わせて彼女の中がきゅうきゅうと締まる。僕が与えたぶんだけ、きっちり返してくれようというのだろうか。律儀なことだ。
 ぷにぷにと舌先に伝わる感触を楽しみながら、胸を揉む。小さいが十分に柔らかく張りがある。
「ひっ、いっ――、きりろっ、もう許してっ……」
 薫がかすれ気味の甘い声で僕に、もっと、と言ってきたので、それに答えるべく、僕は何度もそうしたように、彼女の胸の先端に指を滑らせる。
 いつもより体温が上がっているのだろうか、熱い。
 僕は乳輪を押し広げるようにして彼女の乳首を露出させた。それと同時に、激しく腰を打ち付けてやる。
 普段露出していないせいか、ひどく柔らかく、壊れてしまいそうな乳首を転がし、ときどき摘み上げる。
 そのたびに彼女の口からは僕に責めを加減するように懇願の声が漏れる。しかし、そんなことを僕がきくわけがない。
 思う存分、彼女の胸を弄り回す。
「……ひぁあぁぁ! すごひっ、あっ、きりろっ! ひっ、いく、いくっ……あぁぁっ!」
 敏感な彼女はあっという間に達してしまった。絶叫しながら、僕の背中に手を回し、全身を痙攣させる。
 もちろん、彼女の秘所も激しくうねって僕のものをしごきたてる。
 危うくイッてしまいそうになるのを絶えながら、腰の動きを緩やかなものにする。
 ひくひく震える唇の端からよだれを垂らし、白痴のような顔をしている彼女にくちづけをする。薫は弱々しく舌を絡ませてきた。
「しゅ……う」
 息も絶え絶えに僕の名前を呼ぶ薫。
 なんだ?
 いま妙にどきりとした。
 ……そうだ。こういうときに名前を呼ばれたことがなかったんだ。というか、彼女に名前を呼ばれたのだって今日が初めてだ。
 そう思ったとたん、胸が高鳴るのを抑えられない。やばい。
 もう薫を苛めてやろうだとか、ここを責めてやろうだとか考える暇がなくなる。
 ただひたすらキスをしながら必死で腰を動かす。
 彼女の口元をよだれまみれにしながらキスをしていると、体の中を通って、僕が彼女をついている振動を感じる。
 ぐちゅぐちゅと激しい音をたてるたびに、薫の中は激しく締まり、僕を逃がすまいとする。その絶妙な動きに、舐められているような感覚すら憶えてしまう。
「薫」
「すごっ、んっ、あっ! くぅぅ、ひぅ好きっ、……イっくぅ、んにっ、あっ、修――」
 そこだけはっきりと聞こえた自分の名前に、我慢の限界が来た。
 下半身に熱いものが集まったかと思うと、なにかを思う間もなく、達してしまう。


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