私は嬉しくなって、もっと大きく口を開けて、もごもごと袋を口の中に入れる。そうすると、柔らかいはずの袋の中に固い、しこりのようなものを舌で感じた。
 これはもしかして、あの、キン……タマというやつではないか? 非日常の行為の中で、練習中に男子部員が股間を押さえうずくまっているときに、周りの男子部員が顔を歪めて呟いている言葉が出てきて、私はうろたえた。
「おい、どうかしたのか?」
 私の動きが止まったのを不審に思ったのか、頭を撫でていた手が、するすると頬に降りてきた。心配してくれているのがわかって、嬉しくなる。
 けれど、まさかキンタマに驚いたとは言えない。おちんちんはなんとか口にしたけれど、それを言うよりも遥かに恥ずかしいことのような気がする
「らんでもなひ」
 なんでもない。そう言おうとしたのに、口の中がいっぱいで上手く喋れない。が、言いたいことは通じたのか、アイツが安心した顔になる。
 その顔を見て私も安心して、欲張って頬張りすぎた口のモノを解放する。口の周りが滴り落ちたよだれまみれになってしまった。けれど、今はそんなことはまったく気にならなくなっている。むしろ、もっとコイツにぐちょぐちょに私を汚してもらいたい。
 もう一度、袋を口に含み、ちゅうちゅうと吸いついた。そのまま引っ張りながら、口の力を緩めていくと、ちゅぽんという淫靡な行為に似つかわしくない明るい音がした。それがおもしろくて幾度か繰り返す。
 私は思う存分袋を堪能すると、今度は舌を突き出して、下から上へ、輪郭をなぞるようにして触れていった。
 微妙な刺激にアイツの眉がしかめられるのが見える。
「おい、美冬そろそろ咥えてくれよ」
 私がいつまでたってもゆっくりと刺激を与えていくので、焦れたのか、次の指示がきた。
「あ……ん」
 待ちに待ったご馳走を前にして私は親に、はしたない。と怒られそうなほど大きく口を開いて、ゆっくりと、顔を近づけていく。
 口腔内に迎え入れたものの、内側のどこにも触れないようにして、自分自身を焦らす。
「はぁん、むっ……」
 唇を閉じ、今か今かと待ち構えていた粘膜でおちんちんを包み込む。火傷しそうなぐらい熱い塊が口の中で暴れまわっている。ぐにぐにと頬の内側に擦り付けるようにして先っぽを刺激する。
「ふぅ……むぐぅ、ん」
「ああ、やっぱ美冬の口って最高だ」
 褒められた私は、それを励みにさらにフェラチオを続ける。
 こんなことの練習なんかしたことないのに、私の口は、舌はアイツを気持ち良くする方法を知っている。おちんちんを咥えているとき、私が口を操っているのではなく、口が私を操っているような気持ちになる。
 歯を立てないように細心の注意を払いながら、口をすぼめ、唇でおちんちんを咥えると頭を動かし始めた。
「はぐ、う……むぅ」
 うめき声を出しながら頭を動かし、亀頭の張り出した部分に舌を擦りつける。
 私の動きに合わせて、アイツも腰を動かしてくる。喉の一番奥までおちんちんを突き入れられると、苦しさでえづきそうになるが、相手が気持ち良くなっている証拠だと思うと気にならなくなってしまう。それに、深いところまで迎え入れると、今まさに私達は繋がっているのだという気がして嬉しい。
「ぅえっ、んっむんっんっ。じゅぷ、じゅぷ」
 溜まったよだれがおちんちんに掻き回されて口の端で卑猥な音を立てる。それが恥ずかしいので溜まった液体を苦労して飲み込むのだが、その液体が私をダメにしてしまう。
 男は先走り液というものが出ると前のときに教わったが、それが混ざっているせいなのか全身に甘く染み渡る。最初は音を立てないようにしていたのだが、だんだんわざと喉を鳴らし、飲み下しすようになっている。
「すげぇな美冬。美味しいか」
「んぁむ……んぃ、おいひいよぉ」
 舌先でおちんちんの先っぽの割れ目にちょっかいをだす。あぁ、と快感のうめき声が頭上に落ちてくる。
 アイツの声が切羽詰ってきたので、私はアレを試すことにした。
 あの夜、本で見たように口でおちんちんを咥えながら、手を袋の方に伸ばす。手のひらで包み込むと、なるべく力を抜いてマッサージするように揉みしだいた。
「うわっ。美冬が自分からこんなことやってくれるとは思わなかったな」
「喜んでもあおうと思っれ、本れ勉強しらの」
 質問に答えながらも、舌で浮き上がっている血管を舐める。ドクドクと脈打って力強い。
「そうか、偉いぞ美冬」
 頭を撫でるその手の暖かさのせいで心の底から喜びがこみ上げてくる。褒めてもらって嬉しいなんてまるでペットだ。でも、このご褒美のためならなんでもできる気がする。
「もっろ撫でて。わらひ頑張るから」
 全身に痺れが走ってまともに言葉にならない。
「なんか、こうまでフェラ好きだともう完全に変態だな」
「それれもいいから」
 アイツが快感を露わにした表情で言うので、変態という言葉も褒め言葉に聞こえてしまう。
 今なら何を言われても構わない。私は精一杯心をこめて奉仕する。
 がぽがぽ、じゅぷじゅぷ、淫らな音を奏で、顔中をベトベトにしながら私の頭が動く。
「そろそろ、イキそうだ」
 その言葉を聞いて私はさらに深く、喉で擦るほどおちんちんを飲み込む。苦しみなのか、快感なのか、どちらを感じているのか混乱しながら愛撫を続けた。
「んむ、あっ……むぅっ。えぅっ、んっんっ」
 今まで以上によだれが唇から溢れ、零れる。濃くなっているのだろうか、すぐには垂れずに糸を引いて落ちる。胴着の襟元はもうとっくの昔にぐちょぐちょになっているので、どれほどよだれが零れても気にならない。
「美冬、イクぞ!」
 押さえた叫びとほぼ同時に、私は今までで一番深くまで喉の奥までおちんちんを迎え入れた。びくびくと激しく私の中で暴れまわって、一段と大きく膨れたかと思うと、勢い良く射精し始めた。
「美冬っ!」
 私の名前を呼びながら、間断無くびゅくびゅくと喉に直接粘液が放出される。洩らさないように耐えていたが、とうとう我慢しきれなくなった。
 私の口から、熱い粘液を噴き出しながらおちんちんが飛び出してしまう。
「……ぅえっ! けほっ! うっ、くぁ……」
 咳き込む私の顔に、燃えるように熱い白濁した粘液が降りかかる。その瞬間、私の頭のてっぺんから爪先までを、激しい稲妻のような快感が貫いた。
「ひあっ! ひやぁん! はぁぁぁぁ。んぅ、あぁん……」
 放心し、だらしない声で喘ぎながら、がくがく痙攣する。その間も次々と精液を浴びせ掛けられる。
 私の顔だけでなく、胴着までベトベトにしてようやくそれは治まった。
 まだ、ふわふわとした感覚のまま、ぼんやりと目の前のおちんちんを私は見詰める。それはまだ、発射したりないのか、時々ぴくんと大きく跳ねている。
 なんだか、いとおしくなった私はそれを咥え、まだ先っぽに残っている雫をちゅうちゅう吸い出した。
 私の口の中で徐々に小さく、柔らかくなっていく感触が不思議だった。あれほど固く私の喉を突いていたのに。
 おちんちんに舌を絡めると、舌に痺れるような快感が走る。舌が先っぽに触れるたびに、口の中をぴくぴく跳ねまわる。
「おい、美冬っ! もういいから、出したばっかりでそんなに吸いつくなって。敏感になってるんだよ」
 身をよじりながら懇願されて、私は渋々口を離した。
「……はぁ」
 溜息が精液まみれの口から洩れた。私を襲った快感は、いまだに体のいたるところで燻っている。
 大きく息を吸い、自分に降り掛かった粘液の匂いを吸いこむ。すると、優しい快感が私を刺激した。
 コイツの匂い。そう思うだけで幸福感に満たされる。これは私が恋人を気持ち良くしたという証拠であり、私がコイツの彼女だという証拠だ。マーキングされた。そんな考えが頭をよぎる。
 ぺろりと舌で口の周りの精液を舐め取る。前のときも思ったが、変な味だ。でも幸せな味。


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