「美冬!もうすぐイクぞ」
「ふぅん、むっ」
 例えでもなんでもなく、俺は美冬の口を犯していた。
 ぐちゅぐちょとよだれが口からこぼれるのもお構いなしに、俺は美冬の舌に自分のものを押し付け、思う存分、口内を蹂躙し尽くした。
 美冬は諦めたのか俺の為すがままになっている。
「うっ! イクぞっ!」
 俺はうめき声を上げると、美冬の喉に己のものを突き入れた。
 そのまま、腰を震わせながら美冬の口に発射する。
「うぇっ!? んむっ、んっ、うぅ」
 喉に粘液を流し込まれている美冬は苦しそうに咳き込むが、俺の射精は止まらない。
 ドクドクと口の中に出し続ける。
 美冬がじたばた暴れているが関係なかった。
 いつもの倍は出ただろうか、俺は大きく息を吐きながら、美冬の口から自分のものを取り出した。
「うぇっ、けほっ、けほっ」
 解放された美冬は大きく咳き込み、喉に絡まった精液を口からだらだらとこぼしている。
「ごめん、大丈夫か美冬?」
 俺が心配して声をかけると、美冬はぼんやりした表情のまま自分の吐き出したものを見ている。
「……これが……精液なんだ。ごめん、ほとんど吐き出しちゃった」
 謝らなければいけないのはこちらのほうだというのに、美冬は申し訳なさそうに謝った。
「そんなこと気にすんなよ。それより口の周りに、俺のがいっぱいついてるから拭けよ」
 俺はカバンをあさって、ウエットティッシュを差し出した。
 美冬はそれを受け取らずに、指で口の周りの精液を掬い取るとちゅうちゅう舐め始めた。
 呆然と見守る俺をほって、美冬はぺろぺろと自分の指をしゃぶっている。
 顔についている精液を全部掬い取って舐めてしまうと、ようやくウエットティッシュを受け取り、顔を拭きだした。
「お前、なんでわざわざ舐めたんだよ?不味いって聞くけど?」
 俺は自分のものをしまいながら美冬に尋ねた。
「確かにあんまり美味しくないかな。匂いはエッチなんだけどなぁ」
 顔を拭きながら、美冬は感想を述べた。
「だったらなんでわざわざ舐めたんだよ」
「ん? なんでだろ?」
 美冬は頭をひねっている。
「うーん……、なんかせっかくお前が気持ち良くなった証拠なのに、もったいないような気がしたからかなぁ……」
 俺は感動したあと、なにかしてやりたくなって、美冬の顔をウエットティッシュで拭いてやる。
 最初は遠慮したものの、俺がいいから、と言うと目を細めて為すがままになった。
「よし!綺麗になった」
「へへっ。ありがと」
 美冬はにこにこしながら俺を見ている。
「じゃあ、約束のキス……しようか」
 俺の言葉に美冬は驚いて、目を大きく見開いた。
「あっ!そうだ。そのためだったんだ」
「忘れてた……。なんか気持ち良くなってくれてるのが嬉しくて」
「バカかお前は」
 言葉とは裏腹に自分の顔がにやけているのが自分でもわかる。
「バカとはなんだよ」
 美冬はわざとらしく頬を膨らませた、それでも目だけは笑っている。
「それじゃあ、キスするか?」
 俺が言うと美冬は悩んだ顔をして頭を軽く振った。
「え? しないのか?」
「だって……なんか汚れちゃったから。今は悪い気がする」
 美冬は少し残念そうな顔をして言った。
「汚れたって言っても自分の出したもんだし……」
 そりゃ自分のものを味わいたくはないが、綺麗に拭いたあとだし、なにより俺がキスしたかった。
「それに、もっとなんて言うか……その……、こんな感じじゃなくて……」
 口篭もり、次第に声が小さくなっていく美冬を、俺はじっと見続けた。
 俺がなにも言わないので諦めたのか、かすかに、なんとか聞き取れるぐらいの小さな声で美冬は呟いた。
「もっと、ロマンチックにしたい……」
 必死の思いで呟いた美冬の言葉を聞いた俺は、馬鹿みたいに口を開けて、馬鹿みたいに美冬の顔を見つめた。
「なんか言えよっ!」
 よほど恥ずかしかったのだろう、耳まで赤くした美冬が沈黙に耐えかねて大声で叫んだ。
「っ、はははははは! ロマンチック!? あっはっは!」
 それが引き金になって、俺は爆笑した。
 目から涙に涙がにじんだ。
 俺は腹を折って笑い続けた。
 しばらくの間、顔を赤く染めたまま、黙って俺を見ていた美冬は、我慢の限界に達したらしい。
 気合と共に俺のみぞおちに綺麗な正拳突きを極めてくれた。
「ぐぇっ!」
「なんだよバカっ! 人が真剣に言ったのに!!」
 うめいて崩れ落ちる俺を見下ろして、美冬が怒っている。
「げっ、ほ。ん、ごほっ。……悪かったって。そんなに怒るなよ、俺が悪かった」
「ほんとにそう思ってんのか?」
 俺がせっかく謝っているのに、疑いの目で見られて、もう一発食らっては堪らない。
「思ってる。思ってるから、許してくれって。そのうち美冬が涙流して喜ぶほどロマンチックなキスをしてやるから」
 俺が全面降伏の証に両手を上げて美冬に言った。
 フェラチオしといてロマンチックなファーストキスを望んでいる。
 そのギャップがひどく大事なもののような気がした。
 そして、俺は今度はふざけた表情を消し、真剣に約束した。
「約束だ」
「……約束だな?」
 なおも疑いのまなざしを向けてくる美冬。
「約束するから。許してくれよ。いい加減暗くなってきたからそろそろ帰ろうぜ」
 言いながら、地面に落ちているカバンを拾い上げる。
「わかった! 許してやるから……その、あれだ」
「なんだよ?」
 近づいてくる美冬に俺は、もう一発殴らせろ、とでもくるのかと身を固くした。
「……手、つないで帰っていい?」
 不安そうに俺に問い掛けてくるジャージ姿の空手女を見て、練習で走ってたんじゃねぇのかよ、ぼやきながら俺は、暖かく柔らかいその手を取った。


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