綺麗になった京一のものを見ると、真由の唇は満足げに弧を描いた。かと思うと、ぱっくりと開かれ楕円をつくる。
 そこから舌を突き出すと、ペニスをつつくように刺激し始める。特に雁首の辺りを重点的につついてくる。
 てちてちと卑猥な音をたてる真由は、まるで遊んでいるように楽しげである。
 舌で亀頭を弾くと、棒全部が跳ねるのが面白かったらしい、二度、三度と繰り返す。
 最後に、根元のほうから、ペニスの裏側をべろりと舐め上げると、大きく息をついた。
 つやつやと己の唾液で光っているものをうっとりとした目で見つめ、真由はあんぐりと口を開けて顔を近づける。
 今度は顔を下のほうからである。どうやら狙いは袋らしい。
 京一はなにか言おうとしたが、股間が暖かいものに包まれた瞬間、なにを言おうとしていたのか頭から吹っ飛んだ。
 今まで急所だとしか思っていなかった部分がこれほどの快感を与えてくれるとは。
 真由は真剣な顔でもごもごと頬を動かす。
「んん、ほむ……あぅむ。むぐ、ん、ひぇんな感触ら……」
 ひとしきり感触を確かめたあと、真由は舌で柔らかい袋をマッサージするように愛撫しだした。
 睾丸をころころと転がすように、巧みな愛撫である。
 しばらくそうして京一の股間に吸い付いていたが、そのうち思い出したように手を伸ばし、柔らかい袋とは対照的に固くそそり立っているものに指を絡ませる。
 窮屈そうな格好で頑張っているせいか、先ほどと違い真由の手に妙に力が入っている。
 それがまた絶妙の刺激になって京一の快感を高める。
 真由は上を向いているせいで、股間に押し付けるようにしている顔が、京一の目にもろに入ってくる。
 自分の陰毛からペニスから袋からが真由の顔に触れている光景を突きつけられたのと、イッて間もないところに快感を与えられたせいか、京一の背筋をぞくぞくとしたものが駆け上がった。
 京一は体を震わせると、短くうめいただけで射精してしまう。
 一回り大きく膨らんだかと思うと、ペニスが精液を盛大に吹き出す。
「ぃへっ!? んわっ!」
 真由が陰嚢からよだれの糸を引きながら顔をあげる。
 それがさらに京一の興奮をあおって白い欲望を真由の顔に振り掛ける。
 真由はよけようともせずに、顔で京一の精液を受け止めた。
「……はぁ、油断した」
 京一が呟くが後の祭りである。
 まぶたにかかった精液をぬぐいながら、真由がため息をついた。
「はぁ、元気なんはええけんど、良すぎるっちゅうのも困りもんやなぁ。こんなにこぼしてしもて」
 歯を見せて朗らかに笑いかけてくる真由に、京一は微妙な笑顔を返す。つい一瞬前まで自分のものを加えていた彼女に純粋なものを見て混乱してしまったのである。
「お神酒のせいってことで勘弁してくれ」
「んだなぁ、ほんに効果覿面っちゅうもんみてえだな」
 真由の視線を追うと、さすがに京一は自分のことながらあきれ返った。
 三度も連続して出したというのに、あいかわらず硬くそそり立っているのだ。
「あのお神酒やばいもんでも入ってるんじゃないだろうな」
「たぶん……大丈夫だと思う……」
 真由の言葉に不安を感じながらも、京一があきらめたようにいった。
「こうなったら出なくなるまでイかせてもらうしかないな……」
「ほんに……」
 真由は感心した声をあげると、飽きずに京一のものにくちづけた。
 そのまま、初めにしたように、唇をペニスの形にそって開いていき、深くくわえ込む。
「ほんろにまら硬ひ……さいひょとれんれん変わらんれぇ」
 真由が頬をすぼめて熱心に自分のものに吸い付いているのを京一は心地よい思いで見下ろす。
 やっていることはまさに男を求める淫乱女もかくや、というような行為である。
 ちゅうちゅうと――場合によってはぢゅぷぢゅぷというぐらい下品に――はしたない音までたてて奉仕を続ける真由だが、なぜか彼女が自分の行為を恥ずかしがっている様子がさほどない。
 京一の知っている彼女なら、とてもではないがこんな行為は耐えられないだろう。今更だが、それが不思議だった。
 口元を卑猥によだれで濡らしながら、真由はそれをぬぐうこともなく熱心に頭を動かし、唇で京一のものを締め付ける。
 舌をたくみに動かし、口内に溜まった唾液をかき回しながら亀頭の先端にある鈴口を刺激する。
 いままでにない刺激に京一が、うっ、という声を漏らすと、真由が動きを止めて上目遣いで様子を探った。
 自分を見つめる瞳に気づいた京一は、あいまいに笑ってしまう。なんだか奉仕されている自分のほうが、照れてしまったのである。
 それを見た真由は目だけで微笑むと、再び熱心なフェラチオに戻った。
 京一は真由の頭に手をやった。せめてものお礼というわけではないが、髪の毛を撫でてやろうと思ったのである。
 さらりとした髪の毛を感じた瞬間、真由が猛烈なスピードで顔をあげた。
「なっ、なっ……なにすっだ」
 真由は驚いた顔で目をぱちぱちさせる。口には先ほどまでの奉仕のせいだろう、開いた唇の間に数本ねばついた糸がかかっている。
「いや手持ち無沙汰だったから頭でも撫でようかなって……」
「そったらことしねぇでもええから」
 先ほどまでの玄人顔負けのフェラチオとはうってかわって、純朴なおぼこ娘の顔でそう言うと、真由は目を伏せた。
 ほんのり染まった目じりが色っぽい。
 突然もじもじし始めた真由を不思議に思ったが、嫌がっているようならやめようと、京一は素直に手を床についた。
 それを見届けると、真由は額にかかった髪を払いのけ、京一の股間に顔をうずめる。
「んっ、んむ……あぁぁむ、んちゅ……ふっ、むぅ……ぁっ……」
 真由が規則的なリズムでペニスを唇でしごきたてる。柔らかい唇が硬く勃起したものによって形をゆがめられている。
 薄く紅の引かれた美しい唇に、血管の浮いた男根が出入りするたびに淫靡な音がする。
 真剣な表情で自分のものを頬張っている真由の顔を見ていると、京一は再度不思議な気分になってきた。
 やはり奇妙なことだが、真由からいやらしいことをしているという感情が見えないのである。
 もちろん彼女の奉仕はとても気持ちいい。現に何度もイッている。
 だが、奇妙なことにその相手からいやらしさを感じられない。それがどうしても不思議だったのである。
「――なんでだ?」
「ん? どしただ。も、もすかすて気持ちよくねぇか」
 知らないうちに声に出ていたらしい。京一の呟きに反応した真由が動きを止めた。
「え、いや。なんでもない」
「だども今なんでだっつって言ったでねぇか」
 ペニスを握ったまま真剣な表情で真由が問う。
「……いや、なんでこんなエロいことしてんのに真由がいやらしく見えないのかなと思って」
 京一が言った言葉は真由の態度を一変させた。
「なっ、な、な、なんちゅうこと言うだ!」
 さすがにしまったと京一は思った。
 相手にあまりに失礼なことを言ってしまったからである。まるで魅力がないと言っているようなものではないか。
 慌てて謝ろうとしたが、その前に真由が顔を真っ赤にしてしゃべりだす。
「だっ、大事な神事をエロいなんちゅうこと言うて、罰が当たるでねぇか。そもそもこの神事は……」
 どうやら、京一の心配とはまったく違うことに真由は反応したらしい。流れるような早口で儀式について語り始めた。
 そこで京一は唐突に気づいた。なぜ真由が比較的平気な顔をしてフェラチオできたかを。淫らな雰囲気がなかったのかを。
 彼女は自分のしている行為を、フェラチオつまりセックスに関係する行為だと考えていなかったのだ。
 だから初めに彼女の修行のことをフェラチオの練習と言ったときに、あれほどうろたえたのだろう。
 あくまで自分は生贄であり、奉仕者でしかない。ようするに、真由は自分のしていることはあくまで神事にまつわる神聖な儀式であり、いやらしいものではない、と考えていた。いや、そう思い込んで羞恥心を押さえ込もうとしていた。
 そこへ、京一の言葉があったせいで、自分の行為の側面――どちらかというと通常は性行為というほうが前面だろうと思われるが――が露にされてしまった。
 そのため真由はうろたえだしたのである。


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